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臣 グチる
「ゆっくりでええからお話ししながら歩いていこか?」
「うん。由宇、また来るね」
臣は由宇の髪を撫で歩き出した
「で、臣くん…先生に何されたん?」
「寝とーのにおしりに指を突っ込んできたと!」
「え?寝てんのにやられたん?そりゃ怒るわ」
「抜いてってお願いばしたのに、抜くどころか増やしてきたとよっ。痛かった!」
「あー…そりゃきついな。早々に2本挿れられたわけか」
「しかもナカ、ぐりぐりぃって!」
「ぐりぐりされたん?」
「うん。でも気持ちくしてってお願いしたらそうしてくれたと。先生、鬼…と思ったけど、やっぱり優しかったけん」
「痛かったけど、気持ちはよくなれたんや?」
へぇと周防は興味深そうに臣を見つめ
「う…うん。でももうやりたくなか」
「残念。無理やと思うで?」
「うー…」
「気持ちいいを覚えたんやろ?なら大丈夫。痛いのは最初の入る時だけやから。体の力抜きながらちょっとイキむ感じでやってみ?なんぼか楽やから」
「……?」
「ん?」
「実体験?」
「せやで?」
「えっち」
「おとこのこやからなぁ。気持ちのいいことはそれなりにしてんねんで?さ、部屋ついたで」
「帰っちゃう?」
「なんなん?寂しいん?」
「うん」
「まだ業務残ってんやけどな…」
「明日、採血していいから」
「採血?なんの?」
「てすと…すて…なんとか」
「テストステロンか。オーダー出たんか」
「うん」
「分かった。約束な?」
周防は部屋の中に入り椅子に座り、臣はベッドに座った
「寝ぇへんの?」
「怖かもん」
「大丈夫やって」
「でも、襲われたばい」
「寝とるとこされたんはたまたまやから。それより横になってしっかり休みぃ。で、夜もしっかり寝るんやで?」
「うん…」
しぶしぶ臣はベッドに横たわった
「よし、いい子や。もし夜寝れんようなら看護師さんに言うんやで?ええ?」
「分かった」
「んー…言わなさそうやな。そないに怖かったん?」
「うん」
「でも、気持ちよかったんやろ?」
「そう。でもあの痛みが忘れられんけん」
「かわいそうに。よし、先生に文句言うといたる!周防さんに任しぃ」
「ありがとう」
「よし、そしたら、行くで?」
「また来てほしかよ?待っとるけん」
「今日寄れるかは…ちょっと分からんやけど明日は絶対くるでな?」
周防は臣の額にチュっと口づけ、ステーションへと戻った
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