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もう気持ちを偽れない…

「宵さんそれはどういう意味?」 真尾はぎゅうっと祖父江に絡む手の力を強くし 「帰りたくない…」 祖父江は真尾をゲストルームのベッドに乗せ 「どうした?」 優しい声音で訳を尋ね、隣に座った 「…」 「サユリとケンカでもしたか?」 「いいえ」 「明日は嫌いなごはんの予定が立ってるとか?」 「違います!小学生男子じゃないんだから」 「じゃあなんだ?帰る家があるんだから帰らないと」 「離婚を申し立て中です」 「は?」 「じゃなかったから実家に2泊3日もしないでしょう?」 「レスで見切りをつけられたか?」 「逆です。彼女はいま30です。今ならまだ子どもを望める。彼女には幸せになってもらいたいから僕から申し立てたんです」 「なんでそんな、急に…」 「実継さんが悪い…っ」 「俺?」 「封印してたのに…あなたが好きっていう気持ちを呼びおこしてくれちゃったから…もう、自分の気持ちを偽れない。あなたのせい!」 涙ぐみながら真尾は語り、祖父江をにらんだ。 「突然どうした?」 「離婚を決めたのは、つい、この間だけど、実継さんが好きなのは、ずっと…ずっと前です。だからどんなに痛くても耐えれるし嬉しい… 結婚も実継さんのすすめだからできた。 でも満足できない…実継さんに褒められたい…触ってほしい…愛してるって言ってほしい…よくばりなんです」 「宵…」 祖父江は、宵の頬に触れ 「ごめんな…俺は間違った選択をさせた。いままでよくやった。おまえは俺の自慢の恋人だ、宵。愛してる」 宵の手を引っ張りその体をきつく抱きしめ 「もう離さない。おまえの居場所はここだ」 「うん…っ」 宵は幸せを感じ、祖父江に甘えた 「撫でて?」 「いいよ、いくらでも。甘えん坊だな。宵」 「はい、可愛いがってください」 「明日は今日のご褒美にデートに行こう」 祖父江は真尾が寝付くまで撫で、優しく語り続けた

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