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いよいよ

「周防、臣を一緒に迎えに行ってもらえるかい?」 「ええですけど。先生1人じゃあかんのです?」 「んー…相性がね、あまりよくないみたいで怒らせてしまうから」 「切な…」 「そうなんだよ」 「でも、臣くん俺のことも最初怖がっとったけど慣れた今じゃむーちゃん呼ばわりですよ?」 「打ちとけるまでがね…明日さらに嫌われるだろうしね」 「経直腸エコーやったでしたっけ?うー…よー分からんけど2cmくらいあるんでしたっけ?」 「そう。指2本入るようだからいけるとは思うけど、見たことない道具を使うことになるし、いろいろな方向に向けるから嫌がるだろうね」 「そりゃ、俺かて嫌やと思いますわ」 2人は臣の部屋へと歩きだし 「まぁ由宇くん起きたことでご機嫌さんなってくれるとええですね?」 「そうだな」 「臣くん、泌尿器科的にあんまよーない感じなん?先生」 「そうだね。残尿が気になるんだが…前立腺の様子とかを診ないとなんとも言えないね」 ガチャー 「臣くん、入るでー」 「むーちゃんも来てくれたとね?」 「せやで?えーとそやな、朱雀やからすー先生がええな。すー先生が抱っこしてくれるって」 「すー先生って俺かい?周防」 「そ。ええやろ?親しみがあって。臣くん、すー先生って呼んでみ?」 「すー先生?」 「そうそう。ほら手ぇ伸ばしてみ。抱っこしてーって」 「むーちゃん、恥ずかしかよ」 「祖父江先生には抱っこってやれるやん?同じようにやってみいや。ってあれ?手に何だいじに持ってるん?」 「手紙」 臣は周防に見せると嬉しそうに床頭台にしまった。 「頑張った偉かったぞって!嬉しか。起きたら置いてあったとよ。祖父江先生、優しかね」 「せやな」 「宝物ができてよかったね?臣」 「瀬谷先生…うー…その、だ、抱っこ?」 遠慮がちに臣は手を伸ばすと、瀬谷は戸惑いながら臣の膝下に手を入れ臣の体を持ち上げ 「わっ…」 臣は瀬谷に巻きつき 「えと…すー先生、落としたら嫌ばい」 「落とさないよ。抱っこさせてくれてありがとうね、臣」 微笑ましく周防は2人は眺め、点滴スタンドを押した なんね… 怖かったし、嫌いやけん…嫌だったけど… 心地いい胸板ばい

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