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いよいよ 2
思いのほか安定感のある瀬谷の抱っこに臣は気をよくして甘えるように体重を預けた
「先生、由宇もう起きとー?」
「そろそろ…というところかな?」
ニコニコと瀬谷が返事をしていて、周防は思わず笑みがこぼれた。
あんだけ嫌がっとったわりには、臣くんばっちり甘えてんなぁ
先生もデレとるし、、
なんやほのぼのやん
臣くん、基本は甘えん坊やから甘やかしてくれる人が好きなんやろな
ただ、瀬谷先生は痛いことばっかしよるし
だいすきな由宇を泣かすから〝敵〝って認識したっちゅうところか?
でも
いまこれ見るともう仲良し?どうなんやろ?
周防が疑問に思っているうちにリカバリーに着き、一足先に観察についていた研修医佐渡が瀬谷に頭を下げた
「だいぶスコアあがってきているんで、もう意思疎通できそうです」
「佐渡くんありがとう」
「臣、下ろすがいいかい?」
「うん。ありがとう」
臣は由宇のベッドの端に下ろされ、由宇の頬を触り
「早く起きてー由宇。先生とっちゃうとよ?」
「臣くんそんなん言うて、由宇くんとケンカしたらあかんよ?仲良ーな?」
「大丈夫。そこは俺のが2歳おにーさんだもん譲るたい」
微笑ましい光景に佐渡は目を細めて笑ったがふと疑問に思った
「あ、あれ?」
「どうした?佐渡くん」
「あ、いや…なんかこの子って、めっちゃ先生のこと嫌ってませんでしたっけ?」
「あーうん、そう。今もなお、嫌いと言われているよ」
「なのに抱っこ…ですか?」
「いろいろ複雑でね」
「先生、由宇くんって目覚めたらすぐマーゲン抜きます?」
「いや、しばらく飲食していないからフードテストして言語聴覚士の先生と相談してからかな」
「それ、立ち会っても?」
「もちろん。勉強になるから立ち会うといい」
周防と臣、瀬谷と佐渡がそれぞれ話していると臣が由宇の変化に気がついた
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