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ないしょの話
「由宇、あのね明日怖い検査されるけん…」
「そうなの?何時?」
「うん。10時」
「怖かよ」
「だよな。分かる!俺もなんか採血あるみたいだし憂鬱。いっそ…逃げちゃうか?」
「えっ…そんな」
「ひとりなら俺もよーやんないけど。ふたりならいける気がする」
「で、でもバレよったら」
「バレたらバレただし。普通の採血だけじゃなく、足の付け根からの採血もたぶんやられるし絶対やだ。臣のは?どんな検査?」
「おしりにエコー入れられる…今日はね午前中頑張ったとよ?ちんちんに変な棒入れられて、おしりに指も挿れられたと。いっぱい泣いちゃった」
「げ…そんなことされたの!変な棒って俺も記憶ある…」
「由宇もしたと?もうアレしたくなかよ、俺」
「俺もやだ。でもやんなきゃなんない。マジ、逃げたい」
「でもどうすると?外には出れんとよ?」
「ランドリールーム」
「?」
「業者が使用済みのリネン取りにくんじゃん?そん時狙う。職員よりは成功率高い気がする」
「わーっ由宇、かしこかね」
「よし、朝のバタバタの時間ならどさくさに紛れていけるはず」
「うん」
2人の計画が決まったころ、何も知らない周防が臣を呼びに来た
「臣くん?お話できたん?」
「うんっ」
「そりゃよかったやん。由宇くんもよかったな?疲れたやろ?」
「ちょっとだけ」
「いまちょっとspo2下がって脈が早くなっとたでよー休み?もうちょいしたら夕飯なるで」
「分かった。臣、また明日ね」
「うん!」
「よし、臣くん行こうな」
由宇は手を振り臣を見送った。
臣…かわいいな
明日、うまくいくといいけど……
酸素、大丈夫だよな?
別に苦しくないし、咳もないし、みんな大げさなんだよ
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