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宵さん、体調不良
「…っ……」
真尾はいよいよ我慢のできないほどの苦痛を体が感じはじめ、目を覚ました
「宵?いま、高速を降りたとこだがどうした?」
「実継さん。車、停め…停めて…っ」
「え?」
祖父江は慌ててハザードをたき、車を停めた
車が停まるやいなや真尾は走り出し物陰で嘔吐した。
「う…ぅえ…っ」
「宵っ…車に酔ったか?」
祖父江は真尾の背中を摩り、背中の熱さに驚き
「車酔いじゃないな…調子が悪いなら悪いと何故言わないっ」
「ごめ…心配…させたく…な…くて」
「俺はおまえのなんだ?ただの同僚じゃないだろう?恋人、違うのか?」
「違わない…」
「とにかく。このまま救急にかかろう」
「大げさっ病院なんて行きません。いやっ」
「宵っ」
「寝てれば治ります」
「宵…冷静になりなさい。客観的に見て今のお前は看護師長として家に帰せるか?」
「……せない…ですね。でも、救急は」
「嫌なら少年棟に連れてく。今夜の当直、奈南だろう?いいな?」
有無を言わせず祖父江は携帯を取り出し電話をかけた。
「奈南か?突然悪いが…宵が熱発して嘔吐した。救急受診を嫌がるから俺がそっちで診る」
〝分かりました。診察できるようにしておきます〝
「頼む」
少年棟の裏口に着くと祖父江は真尾を横抱きに抱え奈南の誘導で処置1に入り真尾をベッドに寝かせた。
すぐ診れるように点滴のセットやモニターもすべて用意されていて祖父江は礼を言った
「奈南、助かる」
「いえ宵先輩、モニター失礼します」
「詩乃…ごめん」
「大丈夫です。先輩だって生きてますもん、病気くらいしますよ。気にしないで」
奈南は宵の脇に体温計を挟み
「先生たち、なんで一緒にいたんです?奥さんは?」
「妻と離婚して、いまは先生とは一緒に…住んでる。みんなには内密に」
「宵?隠しておくんじゃ…」
「詩乃は大丈夫…口の堅い子だから」
「なるほど。恋仲なんですね、2人。まあいろいろありますよね。うわ…ちょ、38度7…手足冷たいしまだあがりますよ。いったいなんの熱」
「宵、採血するぞ。奈南、血液培養するから手伝ってくれ」
「じゃあこっちの手で2セット目やります」
「頼む。こっちで採血、血倍からのそのまま点滴繋ぐ流れでいく。頑張れ、宵」
両側から針を刺され、真尾はぎゅっと目を瞑り「…う…。…っい……両側からとか慣れないから…変な感じ」
「さすがに患者の子たちと違って大人しいですね」
「みんなこうだとやりやすいんだがな。とりあえず血管確保はできたから診ていくが…何がいちばん辛い?」
「左の腰?背中…?痛みが…」
「ちょっと叩くぞ…」
「…あぅっ…痛…響く感じが」
「奈南、エコー」
エコーで真尾の痛がる部分を診ていくと…
「ああ…あるな、石がこことここ…いずれも5mmくらいだが…若干腎臓が腫れてる」
「尿管結石に水腎症ですか…これは痛いですね、先輩」
「自然排石できるサイズだけど…これって…」
「カテーテル入れるか…嫌だろうが。奈南、14で用意を」
「やっぱりそうなります?」
「分かりました。じゃあぼくは用意したら行き…」
「奈南、それは困る。いてもらえるか?」
「え?でもちょっと先輩の…その…局部見るのって悪い気が…」
「押さえててもらわないととてもじゃないが留置できない」
「はい?」
「宵は尿道はダメなんだ。アナルは頑張れる子だが…」
2人のプレイ事情を想像して奈南は、顔を赤らめ
「わ、分かりました」
道具と病衣を用意して奈南は真尾の着替えを手伝い、震える真尾の両手を頭上にあげ押さえた
真尾は不安から涙目になり祖父江を見つめ、祖父江は泣くことが分かっているのにやることに辛さを感じ唇を噛みながら支度を進めた
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