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宵さん、入院
泣きつかれた真尾は目尻に涙を溜めたまま、祖父江に抱きしめられウトウトと船をこいでいた。
「寝れるときに寝るといい。今夜は帰らず側にいるから」
「はい。でも…それは…だめだと」
「気にするな。いま痛みは?」
「我慢できるくらいの鈍い感じ」
「そうか。もし仙痛発作がくるようなら我慢せず言えよ?本格的に痛くなってからじゃ鎮痛剤も効かないからな」
「分かりました」
「車椅子お待たせしました。先生って泊まってかれる感じです?」
「そのつもりだが…」
「ね、やっぱり帰って?実継さん。規則は規則。子どもたちも我慢していますから僕だけ甘えれません」
「しかし…」
「大丈夫ですよ、先生。ぼくがついてますから。宵先輩は…知ってるでしょうけど言いだしたら聞かないタチだしお帰りください」
「だな。分かった。明日、朝イチで出勤するから宵を頼む。カルテは書いておくから何かあれば指示どおりに」
「はい。おつかれさまでした」
祖父江が帰ると奈南は真尾を部屋へと連れていき、ベッドへ誘導した
「なんだか変な感じ…」
「なかなか無い機会ですよね、患者になるって」
「明日、みんなびっくりですね?みんなのお仕事観察しようかな」
「えー…」
「どういうケアしてるのか実体験できていい機会だもの」
「で、でもお下の洗浄とか恥ずかしくないんですか?」
「必要な処置でしょ?恥ずかしいけど仕方ないと思う」
「ところでもう落ち着きました?あんなに暴れるなんてびっくりしましたよ」
「ごめんね。すっかり忘れていたけど。痛みで思い出した、わ覚えてないくらい小さな子どもの時に一度導尿したことあってそっからトラウマで…病院行くの嫌いだったんだ。看護師なのにね」
「あー…だから病院行くのごねたんですね?」
「うん…」
「苦手なことって誰にでもありますよね?ぼくは暗いとこがあんまり得意じゃないです。けど、今から巡回の時間なんで行ってきますね」
「頑張って。行ってらっしゃい」
奈南が巡回に向かうと、真尾はすぐに眠りについた。
しかし…
「…っ…ぐ…ぅっ…っい…たぃ…」
奈南が消えてからいくらも経たないうちに真尾を激痛が襲い、真尾はもがいていた
「は…ぁ…っぅ…痛…ぁ」
それから数分し、戻ってきた奈南は焦った
四つん這いになってシーツを握り締め、痛みに涙を浮かべる真尾の腰を摩り
「せ、先輩っ!なんで?ナースコール押してくれなかったの?痛い?痛いんだね?」
「し…の…うん痛い…ごめん」
「大丈夫だから。指示見てくるから待ってて」
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