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いざ、脱走

看護師たちの申し送り中、由宇はそっと酸素マスクを外しちらちらと看護師たちの様子を伺いながら点滴の針を慎重に抜くと、こっそりステーションを通り抜けた。 (師長さん、good job!おかげでリカバリーから抜けでれたっ!) 忍者のごとく、さっと走りランドリールームへ向かうとまだ臣の姿はいない… (うまく抜け出せれてないのか…?まさか、怖気づいたとか?) ガラっー 扉の音がしてビクッと大きく体を揺らすと見えた人物が臣で由宇はほっと胸を撫でおろした 「お、臣か…よかった」 入ってきた臣は点滴をつけていない由宇に驚いた 「由宇、点滴どうしたと?なんで抜いて…」 「邪魔になるだろ?臣はなんで抜いてこなかったかなぁ…って言っても俺もこいつ、おしっこのは難しくてそのまま。なんか無理に抜くとヤバい気がしてやめた」 「それは正解たい。血みどろになると。それより由宇、よぉリカバリーから抜け出せれたね?」 「ああ、師長さんが入院したとかでバタバタしてたから楽に抜けだせた」 「え?入院って」 「くわしくはよく分かんない。とりあえず今んとこ順調」 「ね。由宇、どうやって点滴抜くと?」 「いいよ。俺やってあげる」 自分の時以上に真剣に点滴を抜き、ひと息つくと由宇は空のランドリーボックスに入った 「由宇?」 「臣も入って?で、上にちょっとタオル乗せる。ちょっと息苦しいけどパッと見分かんないから」 着々と脱走の準備をしていると、採血に来た周防が由宇の不在に気づいた。 モニターのspo2値がエラーになっていて慌てて、リカバリーに入ると 「嘘やろ、いないっ。しかもご丁寧に点滴外しとるし。先輩っ由宇くん消えた!!」 ステーションにUターンし、牟呂に伝えると周防は電話を取り 「あ、すんません。守衛さん?うちの病棟の子、所在が分からんのですわ。もし、病衣きた怪しいのが来たら止めてもらえます?先輩、一応守衛さんに連絡はしたけどどうしたらええ?」 「探す!とりあえず少年棟内探そう」 「師長には伝えたほうがええ?」 「んー…悩むけど、とりあえず伝えずでいく。あの人たぶん病人なの忘れて捜索にくわわりそうだし。先輩たち、西側いいです?俺ら東側探すんで」 看護師たちはそれぞれに別れて由宇を探しに走った

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