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さゆり主任、ヘルプに
病室にいた真尾は聞こえた館内放送に目を点にした。
「は?いまのうち??イエローって…どの子?しかも実継さんの声だし…」
ベッドを飛び降り、真尾は点滴スタンドをカラカラと鳴らしながらステーションへ走った
「先生っ、今の放送…エスケープってどういうことですかっ!どの子っ」
「し、師長…」
「あの、由宇くん…それに臣くんが」
「2人とも!?」
「どういうことだ?」
それまで落ち着きをはらっていた瀬谷が声を荒げた。
「なぜ、先に言わない…。祖父江、臣の行き先に心当たりは?」
「あるにはあるが…」
「すみません…お2人とも」
真尾は椅子に腰掛け頭を抱えた
「大丈夫か?真尾」
「大丈夫。ちょっとめまいが…」
「師長すみませんっ師長に連絡すべきでしたけど、俺たちで解決できず…っ」
「そんなことはどうでもいいですっ!由宇くんが危ないっ。ステーションには僕が残る。
それぞれ近隣施設や駅を探してっ」
真尾が叫びながら指示を飛ばすとともに、10数名の他病棟職員が応援に駆けつけ
「遅くなりました」
そのうちのひとりが真尾の前に近寄り
「宵くんっエスケープした子の顔写真出して。わたしたちは顔知らないから」
「さゆり。分かった」
カルテを2冊出し、それぞれ写真のページを開き
「この子たち」
「2人!?やるね、きみのとこの患者くん」
「さゆり主任!うちら病棟の他の子のケア入るね」
「頼んだ」
「宵くん、なんで病衣着てんのか分かんないけど無理しないでよ。それ膀胱カテ入ってるってことはなんかウロの病気なんでしょ?きみはすぐ無理するんだから」
「分かってる」
「師長、このねぇーちゃん知り合いなん?」
「妻だよ」
「別れたてだけどね」
「ちょ、同じ病院やったん」
「あー…泌尿器科のさゆり主任、、名字真尾だった気がする。同姓なだけかと思ったけど…。なんか夫婦ってより姉弟みたいな感じ?」
「周防に牟呂!おしゃべりしてる場合じゃないです!さっさと探しに行くっ」
「はいっっ」
周防と牟呂は慌ただしく病棟から出ていった
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