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外の世界へ

「いい?もうすぐ業者がくるはずだから、俺の指示で出るよ」 「分かったとよ」 キィーっ しばらくすると扉を開ける音がし、気怠るそうなおじさんが汚染リネンの回収にきた。 「臣、いま」 「うん」 2人はそっとランドリーボックスから抜け出て、おじさんの目を盗み外の世界へ出た。 茂みに隠れ、様子をうかがっていると日勤看護師の2人が探しに来た 「臣くーん、由宇くーん」 「点滴スタンドがここに放置されてるってことはいったんここには来たってことだよな」 「換気用兼リネン搬入のこの扉が開くの知ってたらすでに外かも」 「ヤバいって」 「ステーション戻ろう」 2人の会話が聞こえ、由宇と臣はひと息つき 「間一髪…」 「ふぅ…ドキドキしとるばい」 「問題はここから。家に帰ったら即バレ。ちょっとなら小銭はあるけど、どこ目指す?」 「うー…この格好、病衣で町中うろうろするのは目立つけん…敷地内の噴水のとことか、お散歩エリアにいたらみんな同じ格好だからパッと見、分からんと思う」 「たしかに下手に動くよりいいかも。灯台下暗し&保護色作戦ってとこかな? 2人はうまく他の患者に紛れ、お散歩エリアのベンチに座った 「でも…由宇、どうすると?」 「何が?」 「うまく逃げれたけど、ゴールはそこじゃなかよね?あくまでもスタートやけん」 「そ、それは…ぁ。とにかくやりたくないことやらせてくるやつらが悪いんだから。向こうが謝るまで俺は逃げるっ」 「謝ってはくれんじゃなかと?別に先生たちは、悪いことと思ってないけん。治療に検査やから…」 「今更だよ!怖くなったなら臣、ひとりで戻ればいいよ。由宇に脅されたって言えばたぶん、おとがめなしだろうし」 「そんなっ由宇を、売るようなことできんっ」 「臣っ、あんまり大声出すなって。目立つ。ちょっと向こう側噴水の前移動しよ」 「分かった」 立ち上がり数歩歩くと由宇は一瞬グラっとめまいがし胸の苦しさを感じ胸を押さえた 「…うぐ…っ」 由宇の体調は少しずつ悪化をしていった

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