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由宇、体調が…

「え…ちょ、これ…ヤバいかもしんない」 由宇は目を押さえ、はぁはぁと肩で息をしはじめた。 嘘だろ、うまく呼吸ができない。 おかしい… まるで、溺れてるみたい…っ なんで?今まで苦しいとかなかったのに、、 「…は…ぁっ。はぁ…っ」 「由宇?」 「な、なんでもない。急に立ったからちょっと目が回っただけだからさ」 そういう由宇の顔がみるみるうちに青ざめ、ベンチに座ったというより倒れこみ、その手先もやや青く 臣は由宇の体調が崩れたのを察し息を飲んだ 「…っゆうっ」 ピンポンパンポン♪ 「コードイエロー。少年特殊治療棟。コードイエロー。少年特殊治療棟」 「え…」 聞きなれない放送にキョロキョロとあたりを見回す、臣。 数名の職員が院内に戻っていくのが見える。 今の…祖父江先生の声ばい。 しかも、バリ怒ってる… 「由宇…なんかよく分からないけど今の放送、祖父江先生の声やった。たぶん状況的に俺らに関係するかもしれんばい。たいへんなことになったかも」 臣は不安に震えだし、由宇に向きなおった。 すると、さっきよりも由宇の顔色が悪くなり息遣いがかなり苦しそうになっていて 「だ、大丈夫…?由宇、苦しいんじゃなか?いま、看護師さん…っ」 「呼ばないで…っやだ」 「ごめんっ由宇!聞けれん」 ドサっー 「え?」 臣が後退りし、人を呼びにいこうとすると誰かにぶつかった。 「やっぱりここにいたか、臣」 「せん…せ…」 振り返ると恐ろしい顔をした祖父江先生と瀬谷先生がいて、祖父江先生に横にずらされると瀬谷が由宇の前で跪き、ポケットから出したサチュレーションを由宇の指にはめ 「84…」 つぶやいた。 祖父江はほっと胸を撫でおろしながらPHSを出し 「コードイエロー解除。ご協力に感謝」 コードを解除した。

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