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未羽の驚き(27歳)

「そんなこんなで無事に退院を迎えて今に至るわけだ」 医局のソファに座る佐久間は未羽に自分の入院時の話を聞かせていた。 想像だにしなかった話に未羽は目をまんまるにして驚いた。 「な…なんか…すっごい話聞いちゃった気分」 「実際、すごい内容の過去だからな。消せるなら消したい」 「んー…でも、そん時の先生がいたからいまの先生がいるんでしょ?佐久間先生」 「んー…まぁな」 「でも、脱走かぁ…よくやったね?先生」 「あ?おまえだってやりやがったろうが」 「あっはは。そうだっけ?」 「笑いごとじゃない、みぃ。そん時の話もまた後でしなきゃだ」 「えー…見つけられたとき、先生たち怖かったから聞きたくないかも」 「ばっちり覚えてんじゃん」 「ねぇね、それより先生の話聞いて思ったけど先生って結構瀬谷先生と祖父江先生の影響受けてるよね?」 「そうかもな」 「ね、いま臣さんとまーちゃんさんは?」 「臣は夢叶ってここの小児科にいるよ。まーちゃんもここにくるMRになった」 「なんか、すごいね。先生、医者になれたときどう思った?」 「嬉しかったさ、そりゃ」 「でも信じられない。先生が泣き虫?アクマのくせに?」 「おまえなぁ…」 「それにあの時のお兄ちゃんたちが先生だったなんて驚きだよ。なんかびっくりする話でいっぱい」 「俺もいま迷子のみぃに出会ってたの唐突に思い出してびっくりした。世間は狭いな?」 「先生、先生がいま先生してるってことは、医大生には無事になれたってことだよね?その時にみんなに会ったりしなかったの?」 「会った会った。通院で3ヶ月おきには瀬谷先生には会ってたんだけど、少年棟実習の時に祖父江先生と真尾師長…いまは次長だけどさ、会ったんだよ。あん時はびびった」 「え?配属先がそこなんだから普通にいるでしょ?」 「違う違う。職員としてじゃなく急患で来たんだよ」 「急患で!?どういうこと」 「んー…バレると真尾次長が怖いからなぁ。内緒だよ?」 「うん」 佐久間は医大生時代の話を始めた

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