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宵さん、実継さんの出会い 2
「騙されたと思って3分、黙って抱きしめられててくれ」
「…」
真尾は慣れない実習と泣いた疲れから迷いながらもなんだかどうでもよくなり頷き、体に力を入れたままだが祖父江に抱きしめられた
しばらくすると、、
たしかに祖父江の言うように心が安らいできた気がした。
祖父江から質のいい、爽やかなシャンプーの匂いを感じ
心臓の音に安心感を覚え
真尾はだんだんと体の力を抜いていった
「あの…祖父江…先生?ありがとう…ございます。少し落ち着いた気がします。実はうまく患者さんとコミュニケーションがとれなくて…それで指導者さんに注意されてそれが悔しくて」
「そうか。よく話してくれた」
「情けないです。基本中の基本なのに」
「また、いつでも聞いてあげるから俺を見かけたら話しかけてみるといい。コミュニケーションの練習になる」
「先生に話しかけるとか大それた気がして、緊張しますけどやってみます。いま…小児科実習中なので後約2週間お願いします」
それからというもの
顔を合わせるたび挨拶をし、何回目かになると真尾はよく笑うようになり、すっかり警戒心のなくなった真尾が祖父江がかわいいくて仕方なかった
もっとこの子の笑顔や知らない顔がみたい
真尾もまた、聞き上手で、褒め上手の祖父江といるのが居心地がよくて医者と看護学生じゃなく、友人関係になれたら…と考えるようになった
・
・
そして今日が最終日…
小児科の実習が終われば彼と接点がなくなる
手放しなくない…
「真尾、実習頑張ったな」
「まだ始まったばかりですけどね。小児科がコミュニケーションが大事な部署なのはすごく分かりました。まだまだですけど頑張ります」
「なぁ真尾?そのコミュニケーションもっと取ってみないか?」
「え?」
「行きつけのバーがあるんだ。おごる」
「そんな…悪いです」
「俺が行きたいんだ」
「えと…いいんでしょうか?」
「いい」
「じゃあお言葉に甘えて…」
真尾は遠慮しながらも内心、嬉しかった。
2人は就業後、待ち合わせて祖父江の車に乗りまずは祖父江の自宅へと向かった
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