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先生は辛いよ

処置1では瀬谷がガウンと滅菌手袋を付け神妙な面持ちで準備を進めていた。 「先生、ボンベ…ここでええ?」 「暴れること想定すると祖父江の動線にかかるな…少し奥に」 「分かった。俺、これ見るんはじめてやけど…先生やれるん?」 「何度もやってる検査だから問題ないよ。ただね…」 30cmはある長い金属の複数の棒を見、そのうちの1本を手にとり棒の後端の丸い2つの輪に指をかけ、調整をし 「この見た目だろ?由宇が…不憫でね。あの子は泣いちゃうだろうから。ただでさえ辛い検査になるのに押さえつけてやるかと思うと…きついね」 「先生、軟性に変えれんのです?」 「硬性の方が視野が広いからね。それより…周防、きみは気を確かにもって介助してくれるかい?」 「え?何言うて」 「検査中にきみが失神するとちょっと困ったことになるからね」 「失神って…心配しずきやで、先生」 「いや、実際何人かいてね。ひどいと点滴スタンドなんかに頭をぶつけて裂傷負って縫合したナースも実はいる」 「よっぽど大丈夫…思うけど、不安なるな」 「倒れそうになったら、座りなさい。いいね?」 「分かりました」 2人が話し終えたころ、扉が開いた 「遅くなりました」 「あ、しー先輩に佐渡先生」 「雅宗、大丈夫?倒れたら迷惑になるから…」 心配する牟呂に肘で瀬谷はこづき 「さっき、同じ話をしたところだから大丈夫だよ」 「瀬谷先生、見学よろしくお願いします」 「うん。必要な手技だからしっかり見て覚えてね」 「先生、俺は足側でいいんですよね?」 「ああ、牟呂はそっちでいいよ。祖父江に頭側についてもらう」 ・ ・ 「由宇くん、寝ちゃいましたね」 真尾は点滴スタンドを押し、由宇の顔をのぞきこんだ 「まだ何も知らないから…起こすのはしのびないな」 祖父江は、何も知らず心地良さそうに眠る由宇を見つめ辛さに顔を歪めた 「かわいいな…この顔を泣き顔にするのを分かってて運ぶのは辛いな」 「はい」 真尾と祖父江は処置1の扉を開け、瀬谷・周防・牟呂・佐渡の待つその空間へと踏み入れた

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