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由宇、緊急輸血
「出血…思った以上に多いですね。先生」
使い物にならなくなったガーゼを佐渡は新しいガーゼに変え、両名の医師の顔を見た
「そのまま止血続けて」
「はい、瀬谷先生」
「う…ぅ、気持ち……悪い…痛い」
「瀬谷、由宇が嘔気を訴えてる。膀胱鏡抜いてやれないのか」
「出血点が分からない。抜くことでさらに大量の出血が起きないとも限らない以上、安易に抜けない」
「周防、由宇のバイタルは?」
「血圧100/50低下してます。祖父江先生」
「周防、検査台、形態変えて…一先ず、台をフラットに…下肢挙上を」
「はい。祖父江先生」
「止血剤入れるか?瀬谷」
「ええと…」
瀬谷は想定外の事態に、思案していた
どうする…やらなきゃいけないことはたくさんあるが…
「周防、ステーションに帰って真尾に伝えろ。緊急輸血の可能性あり。輸血請求の依頼を」
「分かりましたっ」
「落ち着け…朱雀。パニックになってるのは俺もみんなも同じだ。いつもどおりひとつずつクリアしていくぞ」
「すまない、実継。アドナを静注しようか」
「ああ」
「祖父江先生ぇ…痛いぃ…うぇぇっ」
「痛いな」
「由宇。注射するよ」
瀬谷が注射器を片手に近づくと由宇は取り乱した
「やぁあっしないっしたくない!いらない」
「血が止まらないから血を止めるんだよ。針は刺さない。点滴の側管からゆっくり入れるから落ち着いて」
「祖父江先生…助けてぇ…瀬谷先生が怖い」
「大丈夫。瀬谷先生は瀬谷先生のままだ。今は怖く見えるかもしれんが、終わったら優しくてのほほんとしいつもの瀬谷に戻るよ。だから落ち着きなさい。興奮すると出血が増える」
「ふぇぇ」
「ふぇぇって…」
祖父江は由宇の頭を撫で、額に何度か口づけ
「幼児化してるな。よしよし」
「降りたい。降ろして…っ」
「由宇、ちょっと待ってろ。な?いまはまだ器械がナカに入ってるから、安全にそれが抜けたら降ろして…抱っこでも添い寝でもなんでもしてあげるから今は我慢な?」
祖父江があやしている中、瀬谷はゆっくりと止血剤を注入していった
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