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優しい職場
休憩室で周防と牟呂は2人きりになると、牟呂の胸を借りて周防は泣き、
牟呂は何も言わず周防を強めに抱きしめその背を撫で続けた。
泣き続けて数分もすると、周防が落ち着きを取り戻し牟呂の胸から顔をあげた。
「顔、ぐしゃぐしゃや…」
「落ち着いた?」
「ん。まだモヤモヤするけど、さっきよりはええ」
「業務、戻れそう?無理そうなら師長に相談するよ」
「うん…頼むわ。もうちょい、独りにさせてほしい。先輩の仕事止めて堪忍…おおきに」
「OK。まだ時間あるからゆっくりしてな」
牟呂は周防を残してステーションへと戻った。
戻ってきた牟呂を見て真尾は牟呂を手招き
「周防はどう?」
「あんまよろしくない…ですね」
「そう」
「針刺しのときより動揺してて、かなり凹んでます」
「んー…もうそろそろ由宇くんをこっちに戻すから実継さんにアドバイスもらうといいと思う」
「なんで実継さん?直属は師長なのに…」
「慰めるのあの人、得意だし。なんだかんだで聞き上手だからいい答えくれるよ」
「分かりました」
「じゃあ、由宇くんの移送手伝ってくれるかな?」
「はい」
「それと…膀胱留置カテーテル再挿入すると思うんだけど、こっちに戻ってきたら指示聞いて用意を」
「再挿入…ですか」
「たぶんね。可哀想だけど仕方ないよ」
「気がひけますね。泣きますよね、由宇くん」
「だろうね。傷になってるとこ通すから」
「う…想像しただけで辛い…」
「でも、毎回導尿も可哀想だし、自力で出せたとしてもしばらくは傷が沁みてどのみち泣くことになるよ」
「また押さえつけるのかぁ…」
「そうなるね」
2人は由宇を迎えにいくため、処置1へと向かった
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