464 / 1217

40度

ウィーン…ー 処置1の扉を開けると、気持ちよさそうにラッコになっている由宇と 穏やかに微笑みながら由宇の髪を触る祖父江がいた。 崩してはいけなさそうなほんわかした雰囲気に、ためらいながらも真尾は口を開いた 「先生。そろそろ、由宇くんリカバリーに戻しましょうか?」 「そうだな。ちょっと待って今由宇をおろす」 「由宇くん起きるまではそのままで。気持ちよさそうに寝てるから僕らで運びます」 「分かった。でもなぁ…もうしばらくしたら膀胱留置カテーテル再挿入になるはずだ。由宇が起きたら瀬谷を呼ぶぞ」 「はい。じゃ、動かしますね」 ・ ・ リカバリーへとベッドごと運ぶと、真尾と牟呂はベッドのブレーキを止めた 「トランスファーは起きてからでいいですよね、師長」 「うん、バイタルだけとっちゃおうか。輸血から1時間半になるよね?」 「ですね」 「しかし…気持ちよさそうに寝てますね、由宇くん。実継さんの抱っこが気持ちいいのはよく分かりますけど…この子、なんていうか…警戒心なくなってませんか?」 「ああ。般若だなんだ言ってたのに、いまは神だと」 「随分昇格しましたね」 祖父江と真尾が話しているうちに牟呂はバイタルをとり、由宇の熱の高さに体温計を持ったまま固まった 「う…」 「何度?」 祖父江が顔色を変えて尋ねると、牟呂は表示画面を見せた 「40…。ちんちこちんに熱くなってるから危惧はしていたが…」 「輸血の副反応でしょうか?」 「傷からの感染とか?」 「傷からはまだ早い。輸血の副反応は可能性あるが…いろいろな要因が重なってるな。幸い手足まで熱いからこれ以上はあがらないだろう」 「解熱剤挿れます?」 「起こすの可哀想だが、やむを得ない…アンヒバ座剤くれるか?あとローション。ついでに前立腺にちょっと刺激をして流れをよくしよう」 「押さえます?」 「いや、膀胱留置する時にまた呼ぶ」 祖父江は由宇をそっと下ろし、左を向かせて体位を整えると真尾から座剤とローションを受け取った

ともだちにシェアしよう!