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40度
ウィーン…ー
処置1の扉を開けると、気持ちよさそうにラッコになっている由宇と
穏やかに微笑みながら由宇の髪を触る祖父江がいた。
崩してはいけなさそうなほんわかした雰囲気に、ためらいながらも真尾は口を開いた
「先生。そろそろ、由宇くんリカバリーに戻しましょうか?」
「そうだな。ちょっと待って今由宇をおろす」
「由宇くん起きるまではそのままで。気持ちよさそうに寝てるから僕らで運びます」
「分かった。でもなぁ…もうしばらくしたら膀胱留置カテーテル再挿入になるはずだ。由宇が起きたら瀬谷を呼ぶぞ」
「はい。じゃ、動かしますね」
・
・
リカバリーへとベッドごと運ぶと、真尾と牟呂はベッドのブレーキを止めた
「トランスファーは起きてからでいいですよね、師長」
「うん、バイタルだけとっちゃおうか。輸血から1時間半になるよね?」
「ですね」
「しかし…気持ちよさそうに寝てますね、由宇くん。実継さんの抱っこが気持ちいいのはよく分かりますけど…この子、なんていうか…警戒心なくなってませんか?」
「ああ。般若だなんだ言ってたのに、いまは神だと」
「随分昇格しましたね」
祖父江と真尾が話しているうちに牟呂はバイタルをとり、由宇の熱の高さに体温計を持ったまま固まった
「う…」
「何度?」
祖父江が顔色を変えて尋ねると、牟呂は表示画面を見せた
「40…。ちんちこちんに熱くなってるから危惧はしていたが…」
「輸血の副反応でしょうか?」
「傷からの感染とか?」
「傷からはまだ早い。輸血の副反応は可能性あるが…いろいろな要因が重なってるな。幸い手足まで熱いからこれ以上はあがらないだろう」
「解熱剤挿れます?」
「起こすの可哀想だが、やむを得ない…アンヒバ座剤くれるか?あとローション。ついでに前立腺にちょっと刺激をして流れをよくしよう」
「押さえます?」
「いや、膀胱留置する時にまた呼ぶ」
祖父江は由宇をそっと下ろし、左を向かせて体位を整えると真尾から座剤とローションを受け取った
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