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臣、由宇を励ます
「いやぁーーーっ!」
「こら、由宇。暴れるな。佐渡くん、そっち押さえてくれるかい?」
「あ、はい。由宇くん落ち着いて」
「離してーっ。さっき、血ぃ出たばっかなのに管したくないっっ」
「由宇、自尿も出るだろうが…それこそ傷が沁みて痛いよ。由宇を泣かせたいわけじゃない。分かってくれ。ちょっとの我慢だから」
「いやっっ」
「かたくな…ですね、由宇くん」
佐渡が困っていると扉が開き、臣を抱いた祖父江と真尾が入ってきた
「興奮してますね、由宇くん。ベッドくっつけますね」
「どうした?真尾師長」
「臣くんの希望で…ちょっとお試しでくっつけてあげることにしました」
「そうか。でも、いまは危ないかもしれないが…」
「はい。ちゃんと見てますね」
ベッドがくっつくと、祖父江は臣をベッドに寝かせようとし、臣が起きかけ不安そうに声をあげた
「…ん……ぅ…や…」
「よしよし、大丈夫だ。リカバリーに着いたからベッドに寝かせるだけだ。安心しなさい」
「…う?」
臣は寝ぼけながらキョロキョロとまわりを見回し、泣いている由宇を見つけると
「ゆう…ぎゅ」
由宇に近づき抱きついた。
「…お、み?」
「ん。熱かね」
「なん…で?」
「大丈夫?辛い?」
「辛い…っう…お腹、痛い…」
「由宇?瀬谷先生!由宇が」
「お腹ちょっと触るよ、由宇」
張りがひどいな…しかし、どうする
「由宇?膀胱留置はしたくないんだよね?ちょっと大変だけど導尿はどうだろう?留置カテーテルよりだいぶ細い管だから頑張れるかな?佐渡くんちょっと救急カートから導尿カテとってくるかい?」
「はい。これを」
瀬谷は由宇に袋に入ったカテーテルを見せ
「とりあえず、今のそのお腹痛いをとってくれる。後のことはまた後で考えよう」
「でも…」
たしかに…細いけど、怖い
「由宇…大丈夫。瀬谷先生が上手にやってくれると」
「怖い…」
「うん」
臣は由宇の額に額をくっつけ
「俺が側におるとよ?手ぇ握ってあげるけん…頑張ろ」
「うん」
由宇は臣に励まされ、頷いた
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