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ステント留置 2
されるがままながら複雑な表情を由宇は浮かべていた
「由宇くん、モニター付けような?」
「またそれするの?やだなぁ…嫌い」
「嫌やねんな?ごめんな?急変した時にすぐ対応できるようにやから辛抱やで?」
「うん…」
1回目の測定が終わると佐渡は点滴の繋ぎ目を掴み、注射器を取り付け
「由宇くん、ウトウトしてくるよ」
「…ん……」
由宇がボーとしてきたところで麻酔ゼリーを仕込みペニスクレンメで栓をすると佐渡はタオルをかけた。
「佐渡先生、ちょっといい?周防、由宇の側についててくれるかい?」
「はい」
「由宇くん、もうすぐお誕生日やんな?」
「うん」
「当日、また言うけどおめでとな」
「ありがとう」
由宇はウトウトしながら返事をし、しばらく周防と話しを続けた。
「彼、鎮静かかりにくいタイプでしょうか?」
「んー…あまり深くかかると怖いからね。たぶん痛がるだろうけどボーとさせる程度でいいよ。暴れなければ十分」
「分かりました」
「じゃあ造影剤注入して膀胱鏡いこうか」
「…っ…ぅ……ぁっ」
「佐渡先生いったんそこで止めて。狭窄してるから慎重に」
「はい」
「い゛…た…ぃー」
「痛がりますね」
「いい。そのまま進めて」
「はい」
「は…は、は…う〜…」
「由宇くんその呼吸あかんで長ーく息吐く。はーーやで」
「はーーー…ぁう…まだ?」
「佐渡先生、そこに温めた生食注入、膀胱が開いてきたらステント入れて留置」
「な?や…あついし…気持ち悪い」
「よし、佐渡先生上出来」
「ありがとうございます。由宇くんも頑張ってくれたね」
佐渡が由宇を触ろうとすると由宇は嫌がった
「いや」
「?」
「処置した直後は術者に対して機嫌が悪いんだ。一時的なものだから気にしなくていい」
「そうですか。分かりました」
「由宇くん、ほんなら無事終わったで車椅子乗ろか?」
「やっ。瀬谷先生抱っこ」
「甘えん坊モードかい?仕方ないな。ほらおいで」
「佐渡先生、俺片すんで点滴お願いします」
「あ、ああ。助かるよ」
瀬谷は由宇を横抱きにし、歩き始めた
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