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10月6日

佐渡の研修終了前日、由宇は佐渡とともに瀬谷の説明を聞いていた。 「うん、いいね。自尿もあるし、いまのところ問題無そうだ」 瀬谷は検査データと画像を見て頷き、由宇は嬉しそうに笑った 「先生、本当?」 「ちなみに由宇、痛みはどうだ?」 「あるよ。でも我慢できるくらい。坐薬使いたいほどの痛みは無いかな…」 「そうか、コントロールができているのならいい。この分だと月末には退院できるよ、由宇。前に言ったように定期的な通院が条件ではあるけどね」 「やった。退院できるなら通院は嫌だけど頑張るよ。ねぇ、臣は?」 「ん?それは祖父江に聞いてみないとな」 「臣ってさ食べれない限り退院できないとか無いよね?」 「それはないと思うが…彼の摂食障害は心理的なものだから長くカウンセリングが必要ではあるね。経管栄養は自宅でもできるし、カウンセリングも退院してからでできるけど…まだ少し問題を片付けるには時間が要るんじゃないかと思ってるよ」 「なんか複雑なんだ?その辺あんまり教えてくんないんだよなぁ。先生知ってる?」 「んー…知ってはいるけど申し訳ないね。守秘義務と言うものがあるから言えないんだ」 「大人も大変だね、決まりばっかで」 「由宇も後何年もせずに大人じゃないか」 「それはそうだけど…」 「微妙な時期だよな?今がいちばん。大人でもなければ子どもでもないから」 「うん。あの、佐渡先生?短い間だったけど、ありがとう」 「いい子だね、由宇くん。由宇くんが本当に医大生になればおのずと再会することになるから待ってるよ」 佐渡は笑顔を由宇に向けた。 再会の日は近い、、

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