517 / 1217
ガクブル…
「こ…怖かったばい。実習10月末までだったと思うけん…俺もそれまでに調子ば悪くなったらあの学生さんに怖いこと言われるかも…。俺、調子悪いと先生にあたっちゃったりするし」
「臣は大丈夫だよ。それより俺、めっちゃ嫌われてる気がしたから…次会うの怖い」
リカバリーに臣と2人きりになってから由宇と臣は2人揃って震えていた。
「うー…たぶん、いろいろな人見てきた俺の経験からすると…悪い人じゃなかと思う。なんて言うか間違ったことすると許せなくて、しかもグサって言うタイプに見えるけん…由宇がちゃんとやる気見せればあそこまで怖くならないと思うばい」
「やる気か…自信ない」
「よしよししたるけん、頑張ろう」
臣は由宇を抱きしめ、由宇の頭を抱えこむように後頭部を撫で、由宇は撫でられて気持ちよさに臣に身を預け、抱きしめ返した。
2人が、紫藤に恐れているころー
医局に戻った瀬谷は紫藤をソファに座らせ
「座って?」
「はい」
コーヒーマシンから2人分のコーヒーを用意し、そのうちのひとつを紫藤に差し出した。
「すみません」
「さて…紫藤くん…コミュニケーションは苦手かい?」
「…ですね」
「紫藤くんの言ってることは間違いではないし、むしろ正解なんだけど…もう少しオブラートに包めるといいね」
「はい」
「きみが患者さんを大事に思いすぎて口調がきつくなってしまうんだと思うが…たぶん、患者さんには伝わってない…かな?と感じるよ」
「…別に嫌われてもいいんです。それで治って退院できるなら」
「んー…俺はあまりその意見には賛成できないな。患者さんと仲良くなれ、とは言わないが…もう少し打ち解けれるといいね。技術も知識もきみは充分あると思うし、もったいないよ」
「はい。頑張って…みます」
「午後は患者さんたちとコミュニケーションをとる練習をしなさい」
「え?ですが…」
「いいね?」
「…分かりました」
noと言わせない瀬谷の雰囲気に諦め紫藤は頷き、どう患者さんと接したら…と考えた
ともだちにシェアしよう!