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退院間近なのに体調不良 2

「きみは…友達想いでいい子ですね、臣くん」 紫藤は臣をみつめたままふっと表情を崩した。 それを見た臣があ!と反応し 「先生、そっちのがよかよ?」 「…」 紫藤は慌てて表情を元に戻し、体温計を手に取った 表情を戻す紫藤を不思議そうに臣は見 「?なんね?怖い顔に戻っちゃった…優しか顔ばできるのにもったいなか」 「忘れてください…由宇くんが体調不良に陥っているのにすみません。さあ測りますよ」 「…分かった」 しぶしぶ由宇は体温計を受け取り脇に挟むと、紫藤は次に血圧計を手にし 「血圧も測りましょう。瀬谷先生、採血オーダー出した方がいいでしょうか?後、検尿もでしょうか?エコーはとるべきですか?」 矢継ぎ早に瀬谷に確認をとると、瀬谷は渋い顔をし 「紫藤くん、全部正しいがそんなに焦らなくていい。由宇も不安がってる。患者さんが体調を崩したからと構える必要は無いんじゃないかい?もっと気楽にいこう」 「しかし…いえすみません。分かりました」 「ん。それじゃ採血をしようか?やれるね?」 「はい。由宇くん、血を採ります。手を出してもらえますか?」 「…う」 由宇はいやいや手を出し、瀬谷を見つめ 「先生ぇ、先生がやってよ。怖いぃ」 「はいはい。また今度ね。今日は紫藤先生がやってくれるから」 「なんで〜?じゃあ祖父江先生呼んでよ」 「由宇、未来の有望な医師のために協力してほしい。経験積んでなんぼだから患者さんの協力が必須なんだ。俺も祖父江も患者さんの協力があって今がある。由宇も数年後には同じ道をたどる予定…違ったかい?」 「違わない…分かった。頑張る」 「うん、えらい。由宇」 「由宇くんは…将来、医者志望ですか?」 「そうらしい。また経験談なんかを聞かせてあげてくれると嬉しい」 「分かりました。私の話なんかでよければ…」 紫藤は由宇の手を取り、採血を始めた 「っい゛!っ〜」 「紫藤くん、たぶん少し深いな…針を引いて」 「はい」 「うん、逆流きたね。狙ってた血管は悪くなかったけど少し深かったね」 「すみません。由宇くん大丈夫ですか?」 「だ…いじょーぶくない…。痛かった」 「ごめんなさい。慣れないもので…精進します」 紫藤は悔しさに唇を噛み、痛がる由宇に謝った

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