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紫藤 教えを請う
由宇の診察を終えた瀬谷と紫藤は、医局で話をしていた。
「先生、私は採血の腕に自信がありません。さっきは深く刺しすぎてしまったし…何より患者さんを痛がらせてしまった。なんというか…悔しいです」
「大丈夫。きちんと採れたから気にしなくていい」
「ありがとうございます。でも、採れたから問題ないというわけではないと思うんです。私はもっと上手くなりたい」
「うん、そうだね。気持ちは分かるよ。俺もそう思った時代もある。誰もが通る道だから経験を積んで上手くなっていけばいい。なぁ、祖父江?」
自分のデスクで本を読んでいた祖父江は頷いた
「瀬谷の言う通りだ。はじめからうまいやつなんていないよ」
「教えてください。お願いします」
「教えると言ってもなぁ…んー…どうしたもんかな。ちょっと待っていてくれるか?」
祖父江は少し悩み、立ち上がるとどこかへと出かけた。
しばらくして戻ってきた祖父江は真尾を引き連れ、数組の採血道具一式を載せたバットを紫藤の前へと置いた
「習うより慣れろとしか言えん。俺の腕を使え」
「僕のも使ってもらって大丈夫です」
「え?」
「なら、俺のも使うかい?なんだ…どこに消えたかと思ったらステーションに行っていたのか祖父江」
「ここには無いからな。わけを話したら真尾も協力してくれるって」
「先生たち…すみません。注射はされるのも苦手なので私なら新人に腕を貸すなんて怖くて絶対真似できないです。なのに…」
「貸せるからいい先輩ってわけじゃない。苦手なものは苦手なんだから仕方ない。だよな?瀬谷」
「そうだね。腕は貸してくれずともいろいろアドバイスしてくれた先輩もいるしね」
「ありがとうございます。師長さんも…助かります」
紫藤は3人に丁寧に頭を下げると、祖父江が持ってきてくれた道具を手にとった。
その後、みっちりと3人から採血の指導を受けた紫藤は自信をつけて明日からの実習に臨んだ
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