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紫藤 辛い過去(歪みの原因)※暗い内容なのでご注意ください
「ようやく戻ってきたね。由宇、楽しかったかい?」
「うんっ。迷子がいてちょっと遅くなっちゃった。ごめん、先生」
「あー…さっきの放送の?無事に親御さんは見つかったのかな?」
「見つかったとよ。ね?紫藤先生」
「そうですね。子どもは得意じゃないですがママが見つかって喜んでいるのは可愛らしかったですね」
「紫藤先生おつかれさま。たまにはこういう関わり方もいいだろう?」
「はい。いい経験ができました。あのすみません…ちょっとお手洗いに」
「行ってらっしゃい」
紫藤はお手洗いに向かうと洗面台の前に両手をついて一息つき、つぶやいた。
「 Weine nicht, Mama 」
もう何年会っていないだろうか…
みわくんのママを見てつい思い出してしまった
公には言っていないが…母はドイツ、父は日本人だった。
代々医師の厳格な家庭に産まれ清く美しく育てられた母は、医師留学に来ていた異国の父に会うなり恋に落ちた。
そうしてすぐに私ができた。
しかし、私は両家の親に喜ばれる存在ではなく小学校にあがるころ母と別れ父と2人で日本へと来た。
思い出す母はいつも泣いていた
だから泣いている人を見るのは辛い
私さえ産まれなければ…そう思うこともあった
少しでも見返そうと私は勉強を人一倍頑張ったが、日本語は難しかった。
いわゆるイジメというものにもあった。
この過去が原因か私は情緒不安定になった
たまらなく自分がダメな人間に思えて苦しくなり許しを求めて歪んだ性癖になり、女性を恋愛対象に思えずはじめての相手は男だった。
その人はハードなプレイを好む人でお仕置きと称して散々に私をいたぶったが、私はその行為に自分が許された気がして嬉しかった。
その人と別れたあとも、夜の街をさまよい
いきずりのプレイを楽しんだ
ひどくされればされるほど、高揚し悦ぶ自分がいたが満たされることはなかった
10年後、琢磨さんに見つかるまでは…
しかし、この頃の紫藤はまだ佐渡琢磨の存在すら知らないー
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