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宵さん、号泣の治療

由宇が瀬谷の後を付いていくと見覚えのある部屋にたどり着いた 「げ…」 「どうした?」 「あ…いや…思い出したくない過去を思い出しちゃって」 「はは、そういうことか。あの時は由宇もたくさん泣いたねぇ。たぶん宵くんも泣くだろうけど、たいがいみんなそうだから気にしなくていい。今からやるのは経尿道的尿路結石破砕術っていう処置で膀胱鏡を使う」 瀬谷は話をしながら準備を進めていった 由宇は機械を見つめ 「泣かせるの前提なわけ?さっきのあの様子じゃコレしたら気絶しちゃうんじゃ…あんな師長さん見たことないからびっくり」 「そうだね、俺もびっくりだよ。さ、話は後でゆっくりするとして…準備だ。まずはこれ、尿道に挿れる麻酔。で、流れでないように止めておくペニスクレンメ。彼らが着いて宵くんの着替えをしたらコレをやるから」 「分かりました」 「麻酔をして10分くらいしてから処置を始める。実際、膀胱鏡自体は経験済みだからあまり詳しくは説明要らないかな?」 「なんとなくはイメージ付くけど…しかし、う…っ改めてみても怖い機械だし」 「まあそうだね。男の1番大事な部分にコレを挿れる…と言われたら誰でも逃げたくなるだろうね。にしても…遅いね」 しばらくして内視鏡室に祖父江が病衣に着替えさせられた真尾を連れて現れると由宇は驚いた 「ええっ?だ…大丈夫?師長さん、なんかかなりぐったりしてない?」 「問題ない」 「どうした?これ。祖父江」 「こっちで揉めると面倒だからあっちで着替えさせたんだが…案の定嫌がってな。格闘したからちょっとぐったりしているだけだ」 「さすが抜かりないな、祖父江」 「だてに小児科医していない。ほら宵、処置椅子に乗り換えるぞ」 「…うん」 祖父江はぐったりしたままの真尾を脇を抱え、車椅子から処置用の可動椅子に移動させた。

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