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そして現在へ

翌朝、瀬谷と診察に来ると由宇はびっくりした 「え…わ……くまちゃん似合う…」 真尾がくまのぬいぐるみを抱きしめながらウトウトとうたた寝をしていた 「はは。可愛いらしいね」 「師長さんってもう40いってるんじゃ…」 「可愛いらしさに年齢は関係ない。普段は実継に抱きついて寝ているんだろう」 「それって先生当直の時、どうしてんだろ」 「どう凌いでいるんだろうね?たまに眠たそうだし眠れぬ夜を過ごしているのかもしれないね。でもこれで大丈夫だろう。仕事に支障がなくなる。睡眠はエッチと並ぶ大事なことだからね」 「でも、だからってくまのぬいぐるみはどうなんですか?」 「可愛いからいいじゃないか。由宇と臣のパペットも可愛いかった覚えがある」 「あ、あれは…」 「さすがに8年だしもう処分しただろうけどね」 「……ある」 「ん?」 「まだあるし」 「え?そうなのかい?ははっ嬉しいね」 つい本当のこと答えちゃったじゃん クリーニングしてまだ持ってるなんてさ 恥ず… 「さぁ、起こして診察を始めようか?」 「う、うん。分かりました!」 ・ ・ 診察が無事に終わり、ステーションに来ると懐かしい人に会った 「ほんまに医大生になったんや?自分すごいやん。もう由宇くんって呼べへんな?」 「周防さん修士号取得おめでとうございます」 「おおきに。佐久間先生」 「なんかむず痒い…別に由宇くんでもなんでもいいですけど?」 「あかん。分別はつけりぃ?下のもんにしめしがつかん」 「なんか8年でますます存在感でかいですね?周防さん」 「んーにゃ。態度でかなっただけや」 「はい。えと…あらためてこれからよろしくお願いします」 「こちらこそ。よろしゅう」 ・ ・ 「…で、真尾師長とくまさんは入院中ずっと一緒にいたわけだ」 「な、なるほど…そういえばパペットって…ぼくの入院中もいたような気が…流石に今はもういないよね?」 「いや、いる」 引き出しを開けて中からパペットを取り出し 「やぁ、こんにちは。くまちゃんだよ」 「長持ち過ぎない!?」 「そりゃ、繕ったり綿入れたりいろいろ手をかけてるから」 「マメだね」 「気に入ったものは大事にする主義だから。とりあえず昔話終わり。また話してやるからまずは昼ごはん行こう」 「え…お腹すいてない、、かも」 「みぃっ睡眠、食事にえっち!この3つは欠かすな。これ、先生たちからの教えだから」 「わ、分かったよ。行く」 2人はソファから立ち上がり、食堂へと向かった。

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