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実継さんがいない夜

右を向いて左を向いてコロコロと寝返りを打ち寝ようと試みるもうまくいかず、真尾は時計を見た 「もうすぐ0時……巡回の時間か…どうしよう」 オーバーテーブル上のくまのぬいぐるみを見て 「う…見ないで。くまさん…しょうがないじゃないですか…この8年実継さんに抱きしめられながら寝るのが当たり前だったからいないと寝れないんです、、お薬…もらうべきかな…悩みます」 独り言を呟いていると巡回に来た牟呂に心配され、声をかけられた 「真尾師長……宵さん?大丈夫?寝れない?」 「雫……だって実継さん、いないんだもの」 「くまは?瀬谷先生にもらったんだよね?抱っこしてみたらどうです?それか薬出しますか?」 「お薬もらう…くまさん抱っこは恥ずかしいかも…いいおじさんがくまさんって、、」 「いいおじさんって…言われなきゃ40代なんて誰も思いませんよ!宵さんならくまさん抱っこしてても似合うから大丈夫と思う。じゃあ薬、持ってきますね」 「うん」 牟呂に言われてくまを手に取り、抱きしめ 「やっぱり恥ずかしい……。実継さん…」 しばらく待つと牟呂が戻ってきて 「お待たせです。あ…やっぱり似合う。薬、持ってきましたよ。あーん」 「あーん」 真尾が口を開けると牟呂は薬を真尾の口の中に放り 「舐めて溶けるやつだから舐めて?」 「うん」 「これで寝れるね?実継さんいないと寝れないなんて宵さんらしいですね」 「だって…」 「さあ目を閉じて。寝つくまでいますか?」 「うん…」 「おやすみなさい、宵さん」 あれ?くまさん…実継さんのにおいする… だからハンカチ付けてくれたんだ、実継さん 薬も飲んだしこれで寝れそうかも…

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