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不満げな紫苑くん

お父さんは入院しろって言うけど…本当にそんなに深刻なのかな? いまいち納得ができない… なんでアレがきてないのバレたかなぁ… 確かに学校のクラスのみんなはもうきてるみたいだけど…人それぞれじゃないの? 入院…ダルい、、 コンコンー 誰だろう… 「はい」 「入るよ」 「あ…さっきの先生」 「どうした?不満ですって顔に書いてある」 「入院に納得がいかないんだもん」 「そっかぁ…そうだよなぁ。けど、こっからは出れないんだな。出たら後悔するくらいお仕置きされるからやめときな」 「何それ?脅しなの?そういうのってよくないと思うな」 「それは悪かった。いきなりだけど紫苑って呼ばせてもらうよ?採血がしたいから処置室に一緒に来てくれる?」 「え?わざわざ移動?しんどいのに…どっちがやるの?」 「どっちがいい?」 「佐久間先生患者さんにそんな選ばせるとかなくない?」 「みぃ、興奮すんな」 「みぃ?この人みぃって言うんだ?変わった名前」 「ニックネームだよ」 「違うし。勝手に呼びだしてなんだか定着しちゃっただけだからね?紫苑くん」 「千歌も呼んでんじゃん」 「千歌はいいの!親友だから」 「仲良いんだね?先生たち。採血は別に誰でもいいよ。てか、みぃさん?研修医って名札に書いてあるしみぃさんのがいいんじゃない?」 「え…うそ。きみ、すごいね。紫苑くん。ぼくなら絶対そんなこと言えない」 「俺も」 「いや、だって…後輩育てるのは先輩の役目だってお父さんがいつも…」 「瀬谷先生らしいな」 佐久間はにっと笑い、紫苑に向けて手を伸ばし 「行こう?」 「ん。分かった」 紫苑は佐久間の手を握って立ち上がり、そのまま手を繋いで処置室へと歩きだした。

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