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ご褒美

ボーとしていた紫苑はしばらく寝ていた。 紫苑の寝顔を優しい顔つきで佐久間は見つめ、その視線を未羽に移し 「みぃ、今のうちに記録頼める?」 「うん!次回以降、臥床採血って特記あげとくね」 「みぃgood job。そういう情報、大事。おいで」 「えー…何?」 未羽は恐々、佐久間に近づき 「えと、来たよ?」 「失敗したけどよくリカバリーできました」 「…っ…」 「お、嬉しい?そんな顔してる」 「…褒められたらそりゃ嬉しいよ。ぁ、紫苑くん目、覚ました!」 しばらくして紫苑の意識がしっかりしてくると 「本当だ。起きた?紫苑」 「うん。寝ちゃった」 「よしよし、ご褒美あげる。口開けてみ?」 佐久間はポケットからお決まりの飴を取り出し紫苑の口に放った 「っ…?甘い…飴?」 「そ」 「由宇先生、お父さんみたい」 「瀬谷先生の受け売り。俺の憧れだからさ」 「お父さんかっこいいよね!本人には恥ずかしくて言えないけど大好きなんだ、僕」 「紫苑、お父さん大好きか。じゃあちょっと入院中寂しいな?」 「うん…由宇先生さ、抱っこできる?」 「ん?何?してほしい?」 「しょうがないな。頑張ってくれたから特別な?よっと」 佐久間が紫苑を横抱きに抱き抱えると未羽がむくれ 「あーっ!なんかずるい」 「何やきもち妬いてんだ?みぃ」 「だって…」 ごにょごにょと未羽は言葉を濁し、ふぅと息を吐いて気を落ち着け、処置室の扉を解錠し 「戻ろっか?紫苑くん。よかったね?先生抱っこしてくれて。レアだよレア」 「そうなの?優しそうな先生に見えるけど…」 「この人、佐久間だからアクマって影で言われてるくらい怖いんだよ」 「優しいの由宇じゃなくて?」 「紫苑くんよく見てるね?」 「苗字は氏、家名でしょ?なんか味気ないもん。個人個人に付けられた名前で呼びたい」 歩きながら3人は話し、7号室へと向かい 「名前で呼びたいかぁ、だったらさ明日の先生は縁先生だよ?縁先生」 「ゆかり?」 「うん。そう言うみたい」 「みぃ、余計なこと言わないの。先輩は気難しいんだから初対面でファーストネームなんて言ってみろ。考えただけで恐ろしいよ」 「う…確かに……ごめんね、紫苑くん」 「そんなに怖い先生なの?」 「んー…患者想いなのは人一倍なんだけど不器用なんだよ、先輩は」 佐久間は苦笑を浮かべた

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