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怖がり、紫苑くん
「紫苑くんからナースコール?紫苑くん今行くねー」
夜勤の千歌は急ぎ足で7号室へと向かい、扉を開けると
「…っ…ひ……っく…ぅう」
「どうしたの?ちょっと座らせてもらうね」
ベッドの上で膝を抱えてシクシク泣いている紫苑がいて千歌はベッドの端に腰かけ、紫苑の肩を優しく抱いた
「どこか痛いのかな?」
「ううん…」
「寂しい?」
「それもあるけど…」
「けど?」
「…怖い…あれ」
紫苑は天井を指差し、千歌はその先を見つめ首を傾げ
「ん〜?」
「あそこ…いる」
「え?オバケ的な?」
「ぅ〜…怖いよぉ千歌さん」
「えと…俺には見えないよ?」
「いるもん!あれとあれが目で鼻、口に見える」
「あ〜確かに、、天井の模様?がそう言われればそう見えるかも。そっかぁ…あれが紫苑くん怖いんだね?」
「うん…ぐすっ…」
「眠れる?」
「ううん」
「困ったなぁ…」
涙をこぼす紫苑に千歌は頭を悩ませ
「子守唄歌う?」
首を横に振る紫苑
「お薬飲む?」
「薬…好きくない…」
「じゃあ眠れるようにトントンってお腹優しく叩いてあげようか?」
「独りにしないでよ…怖い」
「他の仕事もあるしなぁ…どうしよう」
千歌は悩みながらポケットから携帯を取り出し
「相馬先生?すみません…ちょっと相談が…」
〝どうしたの?〝
「今日入院してきた紫苑くん、天井の模様がオバケに見えるって怖がって泣いちゃって…もしできたら様子を朝まで見ててくれないかなぁって」
〝そうなんだ?いいよ。そっち迎えに行くね〝
「わざわざ来てくれるんですか?助かります」
〝7号室でよかった?〝
「合ってます」
電話を切ると相馬は7号室へと向かった
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