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千歌 かおるの寝込みを襲う
「眠れたね。せっかく寝ついたとこ悪いけど注射させてね?かおるくん」
千歌はかおるの前髪に触れ、観察室前室へと向かい道具を一式持って戻ってきた。
「ふぅ…さてと」
すぐに刺せるように準備をすると千歌は最後に前髪をパッチンピンで止め、手袋を付け
「ごめんねかおるくん血管見るよ」
かおるの腕を縛った。
「ん…ここいけそう…かな?消毒するよ」
千歌はかおるに消毒をし、針を構え
「チクっとするよ…」
「…っ!!?な?…っ゛〜…痛ー」
刺されたことに驚いたかおるが目を覚まし、寝ぼけながらあたりを見回し痛みに腕を引いた
「かおるくん動かないで〜…」
「ち…かちゃん?」
「ごめん、ごめんねかおるくん。痛いよね?針の外側の部分を中に押しこんでいくからね」
「い…痛いよ…千歌ちゃん」
「うん。血、きた…本体と繋ぐよ」
点滴を落とし始めると、プクっと膨らみが腕にでき
「え?漏れた」
慌てて千歌は点滴を止め針を抜いた
「千歌ちゃん……失敗?」
「ごめん…」
しゅんとする千歌にかおるはおたおたとし
「大丈夫。大丈夫だから…っ次はやれるって」
「うん…ありがとう」
「…い゛っ…ぅ…た…ぅう」
さっきより痛ぇ…やばっ涙出る
手の甲ってこんな痛ぇもんなの?
涙を、流すかおるに千歌はおろおろし
「かおるくんっごめんね?ここ痛いよね?」
「だい…じょぶ…だけど…マジ痛い」
「あと少しだからね」
千歌は点滴の本体と針を繋ぎ、点滴を落とし始め
「よしよかったぁ。入った」
「やったじゃん。さすが俺の千歌ちゃん。しかし寝込み襲うとかひでーよな。マジ、ビビったし痛かった」
「ごめんねぇ?よく頑張りました。よしよし」
千歌は手を伸ばしかおるの頭を優しく撫でた
「今度寝込み襲う時はエッチなやつね」
「何それ?」
「え?目ぇ覚めて千歌ちゃんがチューしててくれたら最高じゃん」
「はいはいいつかね」
「いつかっていつ?」
「いつかはいつかであって分かりませーん」
「ちぇ」
「じゃあまた明日ねかおるくん」
「明日も出勤?」
「明日も半日だから大丈夫大丈夫。かおるくん、いい子に過ごすんだよー?」
千歌はもう一度かおるの頭を撫で、観察室から出ていった
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