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27歳みぃ 低血糖

紫藤の未羽をさとす声に気づき佐久間は 「かおる。ちょっとみぃを診てくるから離れる」 「分かった」 救急カートから血糖チェッカーを取り出し、安楽椅子に座った未羽の近くにしゃがみこみ 「みぃ?気づいてやれなくてごめん。一応、測っておこう?」 「うん」 「ん。じゃ、指出して」 「うん」 佐久間は未羽の指に針を刺し、血の塊を指先に作るとチェッカーの検査紙を血に浸した 「55……紫藤先輩…」 「ここにブドウ糖はありますか?」 「あります。別室に連れて…」 「そのままで。主治医は私です。視野下(しやか)においておきたいです」 「分かった。みぃ、ブドウ糖飲めるか?」 「うん」 「ちょっと待ってて」 佐久間は救急カートからブドウ糖を取り出し、コップに入れて水で溶いたものを未羽の前に差し出し 「みぃ、飲んで」 「…」 「みぃ?」 「佐久間、未羽の反応がよくないです。経口はやめて静注に変更を」 「了解」 佐久間が点滴の準備を始め点滴を未羽の側に設置すると、今の今まで清潔を保つため口だけを出していた紫藤が手袋を脱ぎ捨て 「私が…」 「先輩…」 「手袋を無駄にしてしまいすみません。今はコストよりも未羽優先で」 「別に俺がしてもよかったのに」 「あなたは下手では無いけど上手でもない。この子は注射泣いてしまうからわずかでも辛くないようにしたいんです」 紫藤はボーとしている未羽の頬にそっと触れ 「ブドウ糖注射しますよ?未羽。痛くないように頑張りますが…あなたも頑張れますね?」 「うん」 紫藤は未羽に針を刺し、点滴を繋いでいった

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