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未羽 2人の関係を知る

なんだろ… ふわふわ…気持ちいい… あったかい、、 消毒のかおりに包まれて不思議な気分 誰かに…抱っこ、されてる? 意識はしっかりしてきたけど目が重くて開かない。 けど…心地いいからこのままずっと抱っこされていたいな 「縁。おチビさんどうした?遅番でいま来たから状況がよくわからないが…」 紫藤の腕の中の未羽の顔を佐渡は覗きこむと、紫藤が急にカリカリしだし 琢磨さん!なんで…あなたと言う人は…っ こっちが必死に隠しているというのに… 「交際が明るみに出ると困るから名前で呼ばないでと何回言えば分かるんですか!局長。未羽は…かおるが自然気胸になって胸腔ドレナージ中に低血糖発作をおこしたんです。一時は冷や冷やしましたがもう回復しましたので…」 誰が来るとも分からない廊下で軽はずみに言う佐渡に紫藤は腹が立った。 しかし、佐渡は謝るどころか悠長な口調で 「ドレナージ中に低血糖か…大変だったな。しかし…なぁ縁?まわりに誰もいない。おチビさんも回復したばかりで寝てるようだし聞こえてないだろ?おまえは気にしすぎだって」 紫藤をたしなめた。 紫藤は冷めた声を出し 「耳の機能は最期まで残るし、睡眠中でも大差ありませんよ?知りませんでした?だから聞こえてます」 紫藤の怒りの態度をようやく佐渡が察し、頷き 「…。じゃあ紫藤って呼ぶが…運ぶの変わる」 「何故?」 「いやお前が辛いだろう?」 「大丈夫です。未羽は部屋まで責任持って運びますから」 「ちょっとご機嫌ななめか?紫藤」 「…かおるの……胸腔ドレナージをして泣かせたから気分が優れないだけです」 それくらい察してくれてもいいのに…なんで気づいてくれないんですか? 辛い…苦しい…今すぐにでも…あなたで満たされたいのに…っ 紫藤はそう言いたかったが、場所に遠慮して口を閉じた。 「そうか…遅番で帰りが遅いからすまないが…体、いじらずに家でおとなしくしていられるな?」 「な…う、はい…分かり…ました。けど…絶対、それ…未羽に聞こえてます…未羽に何か言われたら怨みますよ?」 「怖いな…それは。でも…おまえになら怨まれるのも悪くない」 2人は仲良く話しながら病棟へと向かった 私も不器用だけど…あなたも不器用です…琢磨さん。 琢磨さん帰宅まで約10時間…待てる、、でしょうか? ・・ 紫藤…先生と局長? 2人って…そういう関係だったんだ! ってことは… いま、抱っこしてくれているの紫藤先生? え? 知らないよ…こんな風な先生 それに…局長との雰囲気もなんだか、違う 未羽は聞こえてきた内容と、自分のおかれている状況に驚いた。

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