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みぃ先生の昔話

「みぃ先生…?さっき何をされていたの?」 「え?えとね…」 どうしよう…いま、本当のこと話したら怖がらせちゃいそうだし、、 やっぱり言えない 「ちょ…ちょっと敏感なとこ触られちゃってただけだよ。びっくりしちゃった?」 「うん。みぃ先生泣きそうな声してたからびっくりした」 「紫苑くんは偉いな。治療、怖いでしょ?なのに職員困らせるようなこともしないし、協力的だし。ぼくは前の入院の時、困らせてばっかだったよ?」 「そうなの?泣いちゃってるみぃ先生なら想像つくけど、困らせるのは想像つかないや」 「よく前の師長さんとか佐久間先生、紫藤先生に怒られたよ?脱走した時なんか…」 未羽は思いだしてぷるぷる震え 「あー思い出しただけでも、怖いっ」 「教えてほしいな。聞きたい」 「え…怖くなっちゃわない?」 「参考にしたいんだもん。怖いけど聞きたい」 「じゃあ話すね」 未羽はポツポツと昔話をし始めた。 ・ ・ 「はぁ…憂鬱…」 17歳の未羽は盛大なため息をついていた。 はじめての注射から2日後…一昨日はインスリンと血糖測定の練習をさせられて 昨日は佐久間先生から体の隅々をいじられて 散々な数日だった。 昨日よりはマシだけどまだ痛いし…ぅう  今日も今日とて佐久間に呼び出されてる… 「はーぁ…」 「みぃったらさっきからすごいため息。横、座るよ?」 ちかは未羽に近づき、未羽の隣に座った 「ちか。ごめん。でもさ、ため息もつきたくなるよ」 「2日経ったけど、まだおしり痛いの?」 「痛いもん…。これから佐久間先生のとこ行かなきゃだし」 「佐久間先生、怖い?」 「笑いながらお尻に指、突っ込んできた。痛くて痛くて泣きそうだった。本当、マジ悪魔」 「お薬挿れたの?」 「違うよ違う。変なジェルつけて指だけ挿れてきたんだよ。怖くない?ちかもされてるの?」 「お薬ならしょっちゅう挿れられるよ?オレ、すぐ熱が出るからさ。あれ…シュワってしてちょっと痛いから好きくないんだよね。その後のご褒美は気持ちいいから好きだけど…」 「ご褒美?何それ…」 「ちんちんに管、通してきたり痛いことばっかりするから終わりがけに気持ちいいことしてくれるんだよ」 ちかは屈託のない笑みを浮かべ、未羽の肩に頭を預けた

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