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由宇 ヘルプ 2
佐久間は佐渡に場所を譲り、お道具カートを物色し
「まあ、さっきのプラグ装填って意見はさ、
俺のツレがエコー受けた時に痛かったからちゃんとプラグするんだったっていう話を聞いたからなんだけど、決めるのは主治医で専門医の佐渡先生だからそのように合わせる」
「んー…佐久間の言うことも一理あるんだよな。正直、迷うよ」
「ベテランでも迷う?」
「そりゃ迷うさ。泣かせたくて泣かすわけじゃないからな」
「優しいね、先生。…お。いいのあんじゃん。俺はコレされんの怖くて点滴ぶち抜いて逃げたけど…いまの千歌にはピッタリの道具見ーっけ」
佐久間はカートからポンプの付いた道具を取り出し
「1指 挿入すんのがやっとのみぃにはまだ無理な道具だけど、千歌ならいけんじゃない?」
「拡張ポンプか……俺が研修医時代の時のきみから考えると想像もつかないSぶりだな。それは瀬谷先生と祖父江先生、どっちの影響?」
「10年経ってるんで成長くらいするよ。どっちの影響もあるんじゃない?って…できたらこの話題、オフレコで」
「知られたくないのか?卒業生ってこと。患者さんたちには励みになると思うが…」
「知られたくないの。いま、千歌が聞く耳もてる状態じゃないからまだいいけど、患者さんたちの前ではやめてほしい」
「分かった。約束する」
2人が話している間、シクシク泣く千歌は時折組んでいた指を離して目を擦っていた
「先生…もうおしまいがいい。次する時、嫌って言わないからお願い」
「千歌ぁ、先生と俺と約束できる?」
「?」
「今から千歌んナカに佐渡先生がプラグって言うの挿れるから看護師さんがローションの付け足しで取る時と0時〜6時の睡眠確保の時間以外は常に挿れておくこと。できる?辛かったら看護師さんが慰めてくれるし、看護師さんがいる時ならちょっとの時間取ってくれたりするからとりあえず頑張れ」
「…う、うん」
プラグってなんだろう…怖いけど…
いま検査されるよりよっぽどいい
千歌は必死で頷いた
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