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若かりし涼木 熱発

日勤帯が帰り、夕食の見守りをして消灯のための巡回が終わり一息ついてセンターテーブルの椅子に座り小休憩をとり、涼木は左手で腹の上を撫でた 夜は大変とは聞いていたけど…本当、大変 これくらいの年齢にもなれば勝手に寝るもんじゃないの? 泣いてる子もいれば、怒ってる子、テンションあがりすぎな子…とにかくみんな一筋縄ではいかない… 「先輩…みんないっつもこうですか?」 「せやな?大体情緒不安定になってるで、なかなか寝ぇへんねん。でも、寝たらこっちのもんやから。それより、涼木くんさ腹痛いん?」 「え?」 「無意識なんか知らんけど、ずっと腹さすってんで?」 言われて腹を見ると確かに手があって涼木は首を傾げた 「なんだろう…」 「とりあえずお手洗い行ってみ?」 「そうします」 「時間は気にせんでええでゆっくり用足してきぃ」 「ありがとうございます」 涼木は周防に促されて便所に入ったが大も小もどちらも出る気配がなく、頭を掻いた 「大はともかく…しっこが出ないなんておかしいよな…そろそろ出てもおかしくないのに」 トントン…ー 「涼木くん、大丈夫〜?」 「せ…先輩」 カチャー 涼木が扉を開けるとさっきより顔色の悪い涼木を心配して周防は涼木の顔をのぞきこんだ。 「下ってたん?」 「違う。尿が出ていない気がする」 「え?何時間なん?」 「えーと…出勤する前にちょっと出たきりだから7時間はあいてる気が…」 「それ、まずないか?顔色もよーないし。ちょ、来てや?おでこ触らせて?…あつっ…熱、あんで?」 周防は涼木の額を触り、熱さに驚き手を引っ張ってセンターテーブルの椅子に座らせ 「熱、測んで?」 「はい」 ピピピ…ー 「37.8…まあまああんな。無理したらあかんで?涼木くん」 「すみません。緊張によるものかと…」 「とにかくせっかく今夜は先生いてるで、診てもらい?」 「え…でも…っ」 「ええから…っ」 周防は、電話を手にとり瀬谷を呼び出した

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