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千歌 不調
ステーションに戻ると奈南は電話を手に取り
「一応、一報入れておくか……あ、佐渡先生?夜分にすみません」
〝どうした?急変か?〝
「急変とまではいかないですけど…千歌が腹痛を訴えてまして…。今のところは金属音は聞こえないし、腸の音も弱いながら聞こえるので緊急性はないと思うんですが虫垂炎の可能性が…」
〝痛みの移動は?〝〝……ん〝
「まだ…ですね。今はへそ付近の痛みと嘔気がある程度で…プラグは少し早いですが抜かせてもらいました」
なんだ?今の…んって…
吐息?
誰かいるのか?
〝奈南の判断に任せる。早朝の挿れ直しも無理しなくていい〝〝…っ〝
「分かりました。それより…誰か隣にいます?」
〝え…な…何か聞こえるか?〝
「いえ、なんか吐息?のようなものが聞こえたので…」
〝耳、いいな〝
「よく言われます。急変の可能性0じゃないんで一応用心しておいてくださいね?先生」
〝分かった〝
電話を切ると奈南は、緊急時に備えて点滴と採血の準備をはじめた。
あの吐息って間違いなく…してるよな、、
それも、真っ最中…
出勤じゃないとは言え、自宅待機なのにすごい…
ぼくには真似できない
しかも、電話中でも構わず続けてたってことだよね?
相手が誰か分からないけど…早いとこお開きにして緊急時に備えておいてくれるといいけど…
奈南は準備のできたトレーをカウンターに並べ、少し早めに0時の巡回を始めた
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