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みぃ 衝動的行動
取り残された未羽は不安が押し寄せ、いたたまれなくなり病室内をウロウロし始め
「ちか…」
明け方に急に苦しみ出して、ついにはじっとしていられないほど痛がりだして…
怖い…ちか…大丈夫かな
まさか…まさか…死…!?
だめだめだめっ。そんなの考えちゃだめっ
きっと先生たちがなんとかしてくれる。
未羽は床頭台の前でピタリと立ち止まり
「逃げちゃおうかな…」
今なら、ちかに手がかかって気づかれない…
小銭は…
引き出しを開けて財布を見ると1000円札が1枚ー
なんとかなるかもしれない
「行こう…」
未羽は床頭台の奥から入院時に着ていた服を取り出して着替えると財布をポケットにしまい
そーっと歩き出した
ちかには申し訳ない気もするけど…背に腹はかえられない
逃げるなら今しか無い
いちばんドキドキするのはナースステーション…なるべく身を屈めて
額に汗を浮かばせながら未羽はステーションの前を通り過ぎていこうとした。
と、同時に聞こえた
「いやぁーーーっ」
ちかのけたたましい叫び声。
ちか、あんなに大きな声が出るんだ。まだ数日の付き合いだけど、いつものちかからじゃ考えられない。
戦っているちかをダシに脱走中の自分が恥ずかしくなり未羽は一瞬ためらったが、すぐに首を左右に振り一気にステーションを抜けて少年棟と本院を繋ぐ渡り廊下前の扉に手をかけたがビクともしない
しまったー
この扉って…カードキーがいるんだ
未羽は扉を見上げ、途方に暮れかけた
けど、何か手立てがあるはずだよ、きっと何か…
未羽は瞬きもせずに真剣に考え、策を練った
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