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周防 情緒不安定

「あかん…おらん。どこにいてん?未羽」 休憩用のソファに腰掛け周防は途方に暮れていた。 🎵〜 「?…しー先輩…どうしたん?」 〝いまどこ?〝 「デパート」 〝の、どこ?〝 「え?フードコートのソファのとこやで?」 〝分かった。すぐ行く〝 「行くって…」 しばらくすると牟呂がフードコートに現れ、周防は目を丸くし 「え?南方面は?」 「切り上げ。佐渡副長が周防のとこに行けって」 「なんで?」 「おまえが情緒不安定になってるのが気になるらしい。雅宗、水分とった?」 「えと…まだやけど…」 「じゃあせっかくここ、フードコートだしなんか飲もう。飲んでひと息いれよう?〝 「で、でもっこうしてる間に未羽が誰かに襲われでもしたら…っ」 「大丈夫。心配しすぎ。買ってくるから待ってて?ホットでいい?」 「うん」 牟呂が買ってきたコーヒーを飲みながら周防は隣に座る牟呂に寄りかかり 「おおきに。ちょっと落ち着いたわ」 「よかった。わずかながらお金を持って逃亡してるみたいだからフードコートか下の食品売り場に現れる可能性は高い。このまま気長に待ってよ?ね?」 「うん…でも、今日中に見つかるやろか?もし見つからんかったら…?」 周防はじわっと目に涙を浮かべ 「なんかあったら俺、立ち直れんわ…」 「大丈夫だって。なんでそんな不安なの?」 「だって…雅季(まさき)ねーちゃん…」 「雅宗のねーちゃん?」 「うん。震災の時に探したのに見つけられんくて、ようやく見つけた時には大怪我しとったんやもん。今は別に後遺症とかなくピンピンしとるけど…あん時の怖さは忘れられんねん」 「そっか。辛かったな」 雅宗はコーヒーをテーブルに置き、牟呂に抱きつき 「わーんっしー先輩」 「よしよし。みんな見てるよ?」 「ええもん。見たいやつは見たらええねん」 「いいならいいけど…」 牟呂は情緒不安定になっている周防をあやし、頭を撫で続けた

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