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みぃ、縫合

キョロキョロとあたりを見回し状況を理解していない未羽は、目の前に紫藤の人形のような顔があり、その薄い目で見つめられて照れて、顔を横に向けた 「紫藤先生…見ないで…恥ずかしい」 「みぃ、おチビさん?こっち。俺と手、繋いでいような?そっちに意識持っていかなくていいから俺を見てな。いい?」 「え、何?何する?い゛っ!」 傷の近くに注射をされて身をよじろうとしたが佐渡に押さえつけられて、痛みを逃そうにも逃せず涙を浮かべた 「泣いちゃう?みぃ大丈夫。痛いのはすぐ終わる」 「い…痛いよ…ぉ…そんなとこ注射やだぁっ」 「未羽、落ち着きなさい。麻酔です。今はチクチク痛いでしょうけどじきに感覚がなくなります」 紫藤は打ち終えた注射をバットに置き、縫うためのハサミのような道具を持ち 「未羽顔を正面に」 「…っひく、ぅ…こう?」 言われた通りに未羽は顔を正面に向け 「そうです。そのままじっとしているんですよ。後、麻酔…してますけど…たぶん痛いですから覚悟してください」 「え…っ何する…怖いぃ」 「悲しい声出していますけど仕方ないですよね?自業自得ですから」 「し、紫藤先生…もう少し優しく」 慌てて真尾がなだめると紫藤は首を傾げ 「何故?」 「何故って…怖がってます。泣いてますし」 「脱走してこうなっているんです。脱走させてしまったこちらにももちろん非はありますが、脱走したこの子も反省すべきです」 紫藤はプリプリ怒りながら縫いはじめ 「分かりました。後で奈南に謝罪に行くよう伝えます」 「そうじゃない。今回たまたま彼の不注意で起きたかもしれませんが、誰しもが起こしうること。誰がやったかが問題じゃありません」 「はい。また振り返りカンファレンスを行いますね。紫藤先生はご存知ないでしょうけど、少年棟での脱走事件は今回で2回目ですから」 「分かりました」 「…ぅ…っぅ…痛い…」 もう、何針目だろう…激痛ではないけど終わりのないチクチクが辛い 「まだ?」 「まだです。髪の毛で隠れるでしょうけど顔だからなるべく傷を残したくありませんので」 紫藤は未羽が泣くのを視線に捉え、顔を曇らせながら縫い続けた

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