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由宇 処置3

「佐久間、こちらに来なさい」 紫藤からの頼みで瀬谷は由宇を呼んだが、由宇は嫌がり 「で…でも…っ。みぃの処置!俺が主治医なんだからやらなきゃ」 「それは紫藤と佐渡に任せればいい。いいからこちらへ」 瀬谷になかば強引に手を引かれ処置3へと来るとベッドの中に無理矢理寝かせられ、由宇はうろたえた 「おおげさだって!どこも悪くない。てか、なんで処置室?」 「おおげさかを決めるのは君じゃない。少し待っていて。そのまま寝ていなさい。ここに来たのは何かあった時にすぐに対応できるからだよ」 「何かって…大丈夫だし。仕事が…」 「ゆーうっ。言うことを聞きなさい。もし、俺が戻ってきた時に寝ていなくて起きていたら…分かるね?由宇」 「う…はい」 大人しく瀬谷に従い、瀬谷を待つと検温セットと点滴のパックを持ち瀬谷が戻ってきた 「え…まさか…それ、今からやるとか言わないよね?」 「そのまさかだよ。打つと楽になる。2時間ほどで終わるからそれまで休んでいるといい」 隅に置いてあった点滴棒に瀬谷は点滴パックをぶら下げ、それを見て由宇は顔をひきつらせ 「や、休むのはわかった!でも、点滴はいらない」 「遠慮しなくていい」 「やだって…」 由宇は右手の甲を額につけ、泣きそうになるのを堪え 瀬谷は由宇の左手に血圧計を巻き血圧を測った 「140/90…やや高めだね」 血圧を測ると由宇の左脇に体温計を挟み、指に酸素測定の機械を付け 「酸素は97、基準値だが…熱が高いな…。由宇、自覚はあるかい?」 「え?そんなに高い?」 瀬谷は体温計の画面を由宇に見せ 「…8度7…マジ?熱出てんじゃんっ」 「排尿は?」 「普通に出てる。どこも痛くないし、ただの疲れだと思うけど…」 「とりあえずただの水分の点滴だが、1時間もしたら落ち着くはず…けど、熱があがるようならまた考えよう」 瀬谷は由宇の左手を縛り、注射針を構えた 「え…待って?それ長時間用じゃん?普通の針で…」 「万が一があると刺し直すことになるからね。はじめからこちらの針を使うよ」 「ま、待って…たんま…っ紫藤先輩は?」 「熱が高くてボケたか?由宇。未羽の処置中だ」 「あ…」 「いい子だから点滴打つよ」 問答無用で打たれ由宇はじわっと涙を浮かべた 「いっつ…ぅー…痛いぃ」 「はいはい、痛いな?もう血管入ったから後は本体に繋ぐだけだ。頑張れ」 瀬谷は刺しおわるとテープで点滴を止め、由宇の頭を撫で 「よく頑張りました」 「ちょ…もう…ガキじゃないって。恥ずいよ」 「と、言いつつ嬉しそうだが?」 ははっと笑いながら瀬谷は処置3を出ていった

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