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10年経っても泣き虫、由宇
「これ…熱、上がってきてる気がする」
人間って不思議だよな。それまで無自覚でもいざ数字見るとそういう気になってきてしんどくなる……
てか、何?いやいやながらも…って言っても毎回じゃないけどさ。
診察にも通ってんのに…痛い思いするだけ損じゃん
大丈夫…だよな?
今さらまた入院とか勘弁だし、、
ウィーン…カチャン
瀬谷が戻ってくると由宇は視線を扉に向けた
「おかえり…先生、トイレ行きたい」
「出る?」
「うん…」
「気をつけて歩いて」
瀬谷は由宇を支えるとその体の熱さに顔をしかめ
「体熱いな…熱が上がってるね?由宇」
「やっぱり?そう思う?」
「由宇、トイレが終わったら熱を測ろう。後、尿をカップにとってくれるかい?」
「分かった」
トイレに座りカップの中に陰茎を入れるとチョロチョロと尿が出、瀬谷はしゃがみこんで由宇の腹を押した
「いっ…」
「おしっこ出が悪いな…由宇、動かないでいてくれよ」
「ちょっ…やっ。怖っ」
瀬谷に抱きあげられて由宇は恐怖に固まった。
「や…やだ…何かしようとしてるよね?てか、歩けるしっ先生」
「エコー。状況によっては導尿」
「や…やめようよ」
「由宇、点滴が250cc入っていてカップに25ccしか出ていない。いくら熱が高くても少なすぎる。できっていないとしか思えない」
「う…。そうだけど…けど」
「応援を呼ぶが?」
「応援って…」
瀬谷が電話をかけるとすぐに周防が処置3に飛んできた
「由宇くん、おいたしとるんやって?あかんやん」
「周防さん…」
「ほら、お手手貸して」
「え…ちょ、お手手って…子どもじゃないんだけど、俺」
「子どもやん。処置、嫌がってんのやろ?」
「そ、それは…」
「子どもみたいなことしとるから子どもと扱いおんなじでも文句言えへんな?ちゃう?」
「違わない…」
「そしたら診てもらおうな?先生、ええよ」
「さすが元受け持ち看護師。頼もしいね」
瀬谷は椅子に座りエコーで由宇のお腹を診る準備をはじめた
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