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由宇 赤ちゃん化? 2
半分ほどお茶を飲み終えたところで由宇は哺乳瓶から口を離し
「ぷは…っ」
「ごちそうさま?」
「ん」
「いい子。おいで?抱っこしてあげるとよ」
臣は由宇の右肘を持ち左肩の裏に手を回して由宇の体を支えながら起こしぎゅっと抱きしめ、
由宇は臣の肩に頭を傾けて身を任せ、その心地よさに目を閉じると臣の腰に手を回して抱きつき
「抱っこ…気持ちいい…」
「よしよし。背中撫でてあげるばい」
下から上へ臣は由宇の背を撫で、数回繰り返すと「ケプっ」と由宇からゲップが出て
「大人でも出るとやね?これで苦しくなくて寝んねできるとよ?由宇」
「うん…」
トントンと臣は由宇の背中を叩き、由宇は寝ついていった
寝ついた由宇を横に寝かせ、その隣で臣も眠りそれから5時間ほどしたころ
由宇の荒い呼吸で臣は目を覚ました
「はあっ…はあっ…痛い…っ」
「由宇っ!?」
「…ぅう…はあ…はあ」
「お熱…ごめん。測るとよ」
体温計を挟もうとすると由宇は嫌がり
「んやっ…やぁっ」
「ごめん…」
なだめながら熱を測ると臣は驚いた
「40度…これ、だめなヤツ…病院…っ」
臣は走って電話をしにいき救急に連絡をとり、パタパタとせわしなく動き、由宇の診察券、保険証、入院の可能性を考えて携帯の充電器などをカバンに詰めた
ほどなくして救急隊が到着すると、由宇は泣き出した
「や…っ…行かないっ…」
「由宇…ごめんね、行きたくなか気持ちは分かるとよ?ばってん…お熱が40度も出とるけん。先生のとこに行かないけんと思うばい」
「それでも…いやだ!」
救急隊員はデジャヴを感じた。
何年か前にいたな…乗車拒否で泣いてる男性患者さん
あの人は元気にしてるかな?
あの人の時は確かお姫様抱っこをしていた気が…
「えーと…お姫様抱っこできます?」
「え?やれんこともなかよ?その台に乗せんくてもよかね?」
「安全に救急車に乗ってさえくれれば…大丈夫かと?無理矢理に台に固定することもできなくはないですけど…泣いちゃってますし……」
「分かりました。荷物持ってもらってよかですか?」
「はい」
「由宇、抱っこするとよ?落としたくないけんじっとしとってほしか。よか?」
「…やなのに…」
「分かっとーよ?いい子やけん行こ?瀬谷先生、待っとーと」
「…うう」
嫌がりながらも由宇は臣に抱きつき横に抱かれた
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