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雅宗、石におびえる
「石って…そんな…っ…雅宗」
周防の手を握り、注射を打たれるのを待ち
「雅宗、聞こえるかい?おしりに注射するよ」
「は…ぁ…っう〜っっ」
いつもなら泣いて嫌がって暴れるのに石の痛みの方が強いらしく、難なく注射が終わった
「よーし、頑張ったね。そのまま採血して静脈ライン取って点滴に移るよ」
鎮痛剤と同じく、採血と点滴をおとなしくいい子で周防は受け
止まらない涙で顔をぐちゃぐちゃにして牟呂の手を握り
「先輩…痛い…ぃ」
「ちょっと鎮痛剤効いたのかな?むーちゃん、分かる?」
「せんぱい…俺、どうなってまうん?死ぬん?」
「バカっ。死なすわけないだろうっ」
「バカってバカって言いよった。ひどい…」
「そんなんどうでもいいの。とにかく瀬谷先生だけじゃなく佐渡先生も涼木くんも来てくれたから大丈夫。ついでに俺もいるし」
「うん…心強いなぁ。沁 みるわ」
「雅宗、エコーで診るよ。痛い位置を教えて」
「この辺…左っかわやねん…ちょっと痛い位置動いとるし…あかんまさか大動脈解離やないよな?それやったら緊急手術?やっぱり死?」
「違うよ、雅宗。ネガティブになりすぎだ。いつものポジティブシンキングはどうした?」
「だって…だって…こんなに痛いんおかしいわ!」
「そういうものだからね…どれ、佐渡ちょっとエコー頼むよ」
「え、どちらに?」
「すぐ戻るよ」
瀬谷が消えると佐渡は慎重に腎臓のあたりと痛みを訴える場所を観察し…
「あー…いるな。ちなみに解離は起きていない。安心していいぞ」
「そうなん?ほなよかったわ…」
「雅宗、安堵するのはまだ早いぞ。石が複数見える」
「ふ、複数〜!?」
「コレ…でかくないですか?」
「お。涼木?見えるのか?よく勉強してるな」
「あ…いや…」
なんだろ…さっきいじめられたからか、嬉しく感じる…
不思議な気分だ。
照れる…
「これだと自然に…って厳しいですよね?」
「だな」
「先輩、可哀想に」
「佐渡先生、雅宗が耐えられる処置?それが心配」
「耐えれる耐えられないというか耐えてもらわないと治療ができん。雅宗を可愛がってるお前には悪いが泣かすぞ、俺は。たぶん瀬谷局長も同意見のはずだ」
「う…。ですよね」
「辛くて見るに耐えんのなら家に帰っていい」
「いや、雅宗が耐えるんですから俺も耐えますよ」
3人の会話に周防はおびえ、震え出した
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