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雅宗 逃走

「逃げた!マジか…っ」 牟呂が面食らっていると、佐渡がため息をつきながら動き出し 「逃げ足早いな。影も形もない。追うぞ」 「って言っても…どこに?着替えなきゃだろうし、更衣室とか?」 「いやいや涼木くんさ、いくらの雅宗でもそんなすぐ見つかるとこには逃げないって。そんなとこに逃げても意味ないし」 「ったく…世話のやける。点滴スタンドひっつれてるから院内からは出ていないだろうが…見つけたらお仕置きだな」 「お仕置きって…」 「注射をいくつかお見舞いしてやる」 怖… 佐渡先生は敵に回しちゃいけないタイプだ。 「と、とにかく先輩を探しましょう」 3人が探しているなか、周防は8号室にいた。 「どうしたとね?むーちゃん。点滴ぶら下げて…」 「おみぃ?なぁに?」 2人仲良くベッドでイチャイチャしていた由宇は不思議そうに布団から顔を出し、目の合った人物に首を傾げ 「周防さん?」 「うん。そ。突然現れたとよ?点滴ぶら下げとるけん。何かあったっちゃけんね?」 「逃げちゃったの?」 「う…」 「ふーん…どうしたの?」 「石が…」 「石?」 「取るの怖いんやもん」 「…逃げたら治るの?」 「由宇くん…そりゃ治らんけど…」 「見つかってお仕置きされる前にごめんなさいした方がいいと思う」 「せやかて…注射何本もせんとあかん。いやや」 「師長さんも石で昔、泣いてたけど頑張ってたよ?」 「俺には無理や…」 「いま。鎮痛剤か何かで落ち着いているんでしょ?発作きたらつらいよ?」 「由宇くん…」 ガララ…ー ビクッと周防は肩を揺らし振り返ると車椅子を押した瀬谷がいて、周防は後退り 「な、なんで…」 「由宇と話しとーうちに直電したけん」 「ナイス臣。いい仕事する!」 「治してもらわんと治らんけんね?可哀想やけど、頑張り?応援しとるけん」 「行こうか?雅宗。はい、乗って」 「うー…いややぁ」 「頑張れ」 臣と由宇は手を振り、周防と瀬谷を見送った

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