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佐渡 お怒り
「うひゃっ!何すんねんっ痛ぁ〜もう」
突然与えられたおしりの痛みに周防は声をあげ、身構えた。
「こらこら、佐渡。雅宗を怯えさせちゃいけないよ?」
うつ伏せで寝転がる周防のソファの下のマットの上に座り穏やかに話す瀬谷に佐渡は低い声を出し、周防の膝裏に馬乗りになり
「甘いですって、先生。また逃げますよ?2度と逃げたくないって思わせないと」
ぺちんっー
「ひゃうっ…佐渡先生退いて!やめっ痛いやんっ」
「痛くしてんだ!」
「酷いーっ」
パシンっー
「うー…人でなしぃっ」
「悪い子はスパンキングでお仕置き。知らなかったか?」
「スパンキングってエロ用語やんっ」
「それは知ってるのか?大人だな。でも、やってることはお子ちゃまが過ぎるぞ」
「だって…だって…怖いねんもん…やれへん」
「やんなきゃ治んないだろうが…ったく」
佐渡は周防から離れ薬品類の棚まで歩くと、注射器に注射液を詰めていき
周防は逃げたいが体がだるくて動けず、その様子を不安そうに眺め
「な、なぁ…それ、何やってん?」
「あ゛?そりゃおまえ…何って、おまえのために詰めてやってんだろ?感謝しろ。ありがとうは?ありがとう」
「なんでお礼言わなあかんねんっ!てか、何本詰めとん!」
「えー?1、2、3…」
佐渡が数えているのを周防は青ざめた目で見つめ
「ま、ちょ…待って?おかしない?全身麻酔の術前投薬でもそんなないって」
てか、先に打たれた注射と、坐薬のせいなんか分からんけど体に力、入らんくて動けんし
「わざわざ小分けにしてやったんだよ、愛情込めてな。ありがたく打たれろ」
「はぁーっ?!何言うてんっ。コスト、考えやーコスト!注射器と針1セットって何気に高いんやでっ」
ガバっと起き上がって怒りたいのにあかん…無理や
「そんなことは100も承知だ。院長は理解ある人だし、その後継者も俺の意見と変わらない考えだって言ってくれるはずだ」
「誰やねん!それ。とにかく倫理的にもおかしいやろっ。わざわざ小分けにするって…人としてどうなん」
周防の言葉に佐渡は青筋を立てて怒り
「医療者であるおまえが逃走するっていうことの方が人としてどうなんだ!」
「まあまあ、佐渡。そうカッカするな」
瀬谷はふわふわとした態度で話し、周防の保冷剤を反対側の尻たぶに移し変え牟呂を手招いた
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