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注射きらいな雅宗くん

突然消えた佐渡に驚きつつ涼木は、周防に麻酔がかけられていくのを見守った。 「いったぁ…っいた…いたいっ」 「大丈夫だから落ち着こう、雅宗」 瀬谷にさとされるが落ち着けれず、周防は涙を流し 「もうイヤやっ。涼木くん変わって」 「変わって…ってどうやって…」 「ぅ〜ぅー…やや。もーっ眠い」 「じゃ、寝て!先輩寝ましょうっそうしましょう」 「嫌っ。何されるか分からんのに寝てられるか…っひぁっ何!?」 冷たい感触に周防は悲鳴をあげた 「イソジン消毒。冷たかったかい?」 「冷たい…」 「んー…局麻、効きが悪いね?と、言うより薬全般効きが悪い感じだね。これまでもそうかい?」 「分からん…熱とか出すと抗生剤点滴、なんべんも外来に刺しにいかないかんから痛いのは嫌いや」 「入院すればいいのに」 涼木が呟くと、周防は首を振り 「24時間針が入ったまんまなんておそろしいわ!」 「って…患者さんにしょっちゅう先輩も留置してますよね?」 「他人にやるんは別問題やもん」 「はいはい。分かったから刺すよ。雅宗。押される感じがするよ。しっかりおヘソを見て丸くなって、長ーく息を吐く」 「…っい゛っ」 ドンと衝撃が周防の体を駆け巡り、しばらくすると下半身が重だるくなってほんわかあったかいような気がしてきた。 なんやろ…麻酔ってこんな感じなんや 変な感覚… 「終わり?」 「うん、おしまい。よし、じゃあ涼木、雅宗の移動を手伝ってくれるかい?」 「分かりました。先輩、動きますよ」 「え…やっ」 涼木に担ぎあげられ、周防は例の椅子へと座らされそうになり怯えた。

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