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ぐずぐず
運ばれる!
あの椅子はイヤやっ
でも、あかん。体が動かれへん…特に下半身
座らされるとすぐさま涼木と瀬谷がベルトを取り付けにかかってきて、周防は泣くことしかできなかった
「ぅ…ぅっ…固定、せんといてー」
「泣かなくて大丈夫だよ、雅宗。麻酔をかけたから怖くない」
「せやけど…この椅子イヤや」
「みんな恥ずかしがるけどね、処置をしやすくするための格好だから恥ずかしがらなくていい」
「そう言われても…恥ずかしいもんは恥ずかしいやん」
「そうだね。じゃあカーテンをかけるかい?」
「カーテン…」
「そうしたらお互いの顔は見えないよ」
「そんなん怖いぃーっ。それができたら寝とるって!」
「んー…困ったね。涼木?これ、椅子を動かしても大丈夫だと思うかい?」
「なんとも…。固定して逃げれないから牟呂先輩呼び戻してみます?」
「そうしてみようか」
「…ってことで、牟呂先輩こっちにいいです?」
呼ばれた牟呂はソファから椅子へと移動し、泣く周防の近くに寄り手を伸ばして周防の頭を撫で
「注射、頑張ったね。むー。治療も頑張ろうよ?」
「イヤ…助けて、先輩」
「終わったらいくらでも甘えていいし、ご褒美スイーツも2つに増やしていいよって言ったら頑張れる?」
「むー…それは…魅力的やけど…それ、ほんま?デブるで?」
「その分、運動させるから大丈夫」
牟呂の言葉に周防は赤面し
「しー先輩の…えっち。分かった…頑張るで、俺。頑張るで手ぇ握っとってくれへん?」
「もちろん言われなくても握ってやる」
2人の様子を見て瀬谷はうんうんと頷き、50cmはありそうな長い器具、尿管鏡を手に取り
「気が変わらないうちにサクッと終わらせてしまおうか」
明るい口調の、瀬谷に周防は顔を引きつらせた
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