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怖い…
瀬谷の持っている長い管に周防は怖気付いて震え
「ま、待ってそれ…そのまま挿れるん?」
「いやいや、ゼリーはもちろんつけるよ。特別に多めにつけてあげるから足をもう少し開けるかい?ちょっと膝と膝が近くて処置がしにくい」
「開けへん」
「即答だね?涼木、出番だよ」
「う…すみません。先輩許してください」
「イヤやっ!涼木くんのえっちーっ」
「なんか…ひどい罪悪感が…」
「治療せずに見過ごすほうが悪いことだからね。罪悪感は感じなくていい」
「はいっ」
「え…っちょ、何爽やかに返事してんねん!」
「先輩、怒らない怒らない。息を吐いて楽にしててください」
「イヤっ」
いつまでもイヤを貫き通す周防に瀬谷はあきれだし
「イヤって…処置される気になってくれた方が痛くないと思うんだがね…まあいい…」
瀬谷は問答無用で周防の局部に尿管鏡を押し進めていき
「ひっ…ぐ…っ…痛…っ痛いって!」
「まだ先端しか挿れていないよ。気のせい」
「気のせいやない…っ」
「痛いと思うから痛い。痛くない…痛くない。ほら、つぶやいて」
「い…たくない…いたく…な…っいたぁーいっ…やぁっ」
「膀胱から尿管行くよー」
「へ?尿管?!怖いーっ…う…ぁっ…気持ちわる…っ」
「よしよし。上手だよ…と。はい、見つけた。レーザーで砕くからね」
「怖い…怖い…」
瀬谷先生、今まで仏さんみたいやと思っとったけど…怖い…
周防は牟呂の手を必死で握り、牟呂はその手を両手で包み周防の手の甲を撫で
「大丈夫…大丈夫」
・
・
「うん。これでいいだろう。抜くよ」
ズルルっと抜け出ていく道具に周防は身震いし
「あ…っぅ…終わった…終わったん?」
周防がほっとしていると、瀬谷は長くて細い管とカテーテルを手にし
「これらを留置してお終いだよ、雅宗。3日…いや、4日間は病院にいるんだよ?いいね?」
周防は瀬谷の言葉に口元をひくつかせ、牟呂の方に顔を向けた
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