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会いたくない人たち

突然の音に驚いた涼木が目を見開くと、佐渡が涼木の前に指を2本突き出し 「涼木…涼木!これいくつに見える?」 「や…やめて。挿れないで」 「は?」 「何を(ほう)けているんでしょうか?この方は…。意識レベル落ちているんですか?」 「分からん。俺たちが入ってきたことにも気がつかないほどボーとしてたからそうかも知れんな。痛み刺激与えてみるか」 「使うかい?佐渡」 瀬谷からボールペンを受け取り、ボールペンのペン尻部分を佐渡は涼木の親指の爪に押し当て 「いったぁっっ…!!」 「お、反応あった」 「しかし、周防の様子を見に来たはずなのに…」 「涼木だけ取り残されたと聞いたら、行かない訳にはな…。案の定な感じだし」 「はいはい、あなたは患者だけじゃなく同僚にもお優しいわけですね?」 「仲間だからな」 「もう…っ突然、戻るって言い出すとか失礼ですからね?これからって時に…」 「まあまあそう言うな。また埋め合わせる」 「約束です。今度は破ったら許しませんから」 「怖いな…分かった。約束する」 な…な? なんでいる? いま1番会いたくない人…佐渡先生に 俺がもっとも苦手な紫藤先生、、 しかも…なんか親密だ 「さ…佐渡先生に紫藤先生…なんで」 「あ…本当に、意識が戻ってきたようですね?」 「…の、ようだな?涼木、大丈夫か?」 「大丈夫…じゃないです。帰りたい…」 つぶやく涼木に瀬谷は、頷いた。

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